- 2025/12/11 掲載
12月ロイター企業調査:PB単年度目標取り下げ「適切」、積極財政に期待 労働規制は意見分かれる
[東京 11日 ロイター] - 12月のロイター企業調査で、高市早苗首相が「責任ある積極財政」のもと、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の単年度黒字化目標を取り下げたことについて、3分の2の企業が「適切な判断」と評価していることが分かった。首相が経済政策の柱の一つとする労働時間法制の見直しについては、積極的に進めるべきとの企業と、分からない、もしくは慎重な対応が必要とする企業に意見が分かれた。
調査期間は11月26日ー12月5日。調査発送企業は494社、回答社数は236社だった。
<積極財政に期待、市場への懸念も>
PBは社会保障や公共事業等の政策経費を借金に頼らず、税収で賄えているかを示す指標。石破茂前首相は2026年度にかけてPB黒字を可能な限り早期に実現するとしてきたが、未達の状態が続いている。
PB単年度目標の引き下げが適切と回答した企業からは「短期的な目標でなく、長期的な目線が必要」(繊維)、「現時点での優先順位としては妥当な判断」(金属製品)との声が聞かれた。
「積極的な財政出動は必要」(卸売)、「積極財政による経済の好循環を第一に考えることが最大の課題」(輸送用機器メーカー)など、積極財政そのものに期待する声が聞かれた。
一方、「短期的に実現が不可能な目標に拘泥するのは適切ではない」とする一方で「将来目標はしっかりと持ってほしい」(ゴム)との指摘もあった。
目標引き下げは適切でないとする企業からは「財政再建は喫緊の課題」(化学)、「財政悪化により円安基調が予想される」(紙・パルプ)、「金利上昇ペースが速まるリスクが増大」(運輸)などの指摘があった。
高市政権発足後、財政出動による景気浮揚を唱える「リフレ派」の論客が政府の会議等に起用されていることについては73%が「適切」と回答。「適切でない」(27%)を上回った。
<労働法制見直し、裁量労働制を重視>
高市首相が成長戦略の目玉と掲げる労働時間法制の見直しに関しては「積極的に進めるべき」との回答が48%となる一方、「慎重な対応が必要」が37%、「分からない」との回答も15%に上った。
積極的に進めるべきと回答した企業はその理由として「日本の競争力維持」(繊維)、「柔軟な人材採用を検討できる」(鉄鋼)、「人材不足」(建設)などの声が出ていた。
慎重な対応が必要とする企業からは「職種や職業によるべき。企業の独自性も尊重すべき」(化学)、「長時間労働の助長につながらないよう注視する必要がある」(鉄道)などの指摘があった。
労働時間法制の見直しについて何を重視するかという問いには、52%が「裁量労働制の拡充」と回答。残業時間の上限引き上げと答えたのは29%だった。
(梶本哲史 グラフィックス作成:照井裕子 編集:石田仁志)
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