- 2025/12/11 掲載
スイス中銀、ゼロ金利を維持 米関税引き下げで経済見通し改善
John Revill
[ベルン 11日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は11日、市場の予想通り政策金利をゼロ%に据え置いた。据え置きは2会合連続。米国との貿易合意によりスイス製品への関税が引き下げられ、経済見通しが改善したと指摘した。
スイスの国内総生産(GDP)は第3・四半期に0.5%縮小し、11月のインフレ率はゼロ%と中銀の目標レンジ(0─2%)の下限となった。
中銀は声明で「ここ数カ月のインフレ率は予想を若干下回った。ただし、中期的なインフレ圧力は前回の金融政策評価時と比べておおむね横ばいだ」との認識を示した。
為替市場では、スイスフランが対ドル、対ユーロで小幅高となり、1ドル=0.79885フラン、1ユーロ=0.934フランとなった。金利据え置きは広く予想されており、決定前の水準からの変動は限定的だった。
<見通しはわずかに改善>
スイスは11月に米国と貿易交渉で合意し、スイス製品に対する追加関税は当初の39%から15%へ引き下げられた。今回は合意後初となる中銀の会合だった。
中銀は「米国の関税引き下げと世界経済の一定の改善により、スイスの経済見通しはやや上向いた」と指摘した。
アナリストは関税引き下げによってスイス製の時計、チョコレート、機械類などが米市場からの締め出しリスクが和らぎ、スイス経済への打撃が軽減されるとみている。
EFG銀行のエコノミスト、ジャンルイジ・マンドルッツァート氏は、世界経済が底堅さを示す中で、成長見通しが改善していることが金利据え置きの背景にあると分析した。「政策金利は今後数四半期、場合によっては2027年まで、現在の水準にとどまる可能性が高い」との見方を示した。
<長期化する低インフレ>
中銀は今後数四半期のインフレ見通しをわずかに下方修正したものの、インフレ率が2027年末にかけて0.7%まで徐々に上昇すると予測した。「予測期間全体を通じて、物価は安定の範囲内にある」と強調した。
J・サフラ・サラシンのチーフエコノミスト、カルステン・ジュニウス氏は、中銀が26年のインフレ予想を0.3%まで引き下げたことは、低インフレの長期化に備える姿勢を示したものだと指摘した。「政策金利をゼロ%に据え置くという今回の判断は、足元の低インフレだけでは追加利下げを正当化しないことを意味する」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、エイドリアン・プレッテジョン氏は、インフレ率がゼロ近辺にとどまる期間が長引くほど、インフレ率が上向くとの見方は正当化しにくくなり、最終的に中銀は金利をゼロ未満に引き下げざるを得なくなると予想した。「マイナス金利が金融システムにもたらすコストをデフレリスクが上回ると、中銀が来年半ばまでに判断するとみている」と語った。
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