- 2026/02/13 掲載
アングル:「K字型経済」化が進む米国消費、米企業も明暗分かれる
[11日 ロイター] - 米国の消費は高所得世帯と低所得世帯の上下の分断が進む「K字型経済」化が浮き彫りになっており、経営陣のコメントからもその実態がより鮮明になっている。高級ブランドは富裕層顧客が利益源となっている一方、低価格志向の企業は資金繰りに苦しむ家計の支出抑制と戦っている。
ハンドバッグ「コーチ タビー」を抱えるタペストリー、ラルフローレン、アメリカン・エキスプレスから航空大手のユナイテッド航空、デルタ航空などに至るまでの企業は直近四半期の業績が予想を上回り、高利益率の商品・サービスに惜しみなく支出する富裕層顧客が業績に寄与した。
一方、ペプシコ、クラフト・ハインツ、ペイパルはいずれも低所得層が予算をやりくりするために購入を先送りする圧力に直面していると説明した。
連邦政府の統計に基づいたムーディーズ・アナリティックスのレポートによると、現在の全米消費支出の半分弱を占めているのは所得上位10%の世帯だ。約30年前には所得上位10%の世帯が占める割合は全米消費支出の3分の1強にとどまっていた。
中間所得層の消費者も脱落し始めているとの懸念も一部出ている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストらは「高所得層の所得増加が引き続き旺盛な一方で、中間所得世帯の賃金上昇は鈍化しているようだ」と指摘した。
このような格差の背景には、よく知られた算術的要因がある。低所得世帯は家計のより大きな割合を食品、ガソリン、家賃などの必需品に充てているため、インフレの影響をより強く受ける。その結果、自由裁量支出の余地が少なくなり、予期せぬ出費の余裕もほとんどない。
ミシガン大の消費者信頼感指数は2月に57.3へ上昇し、昨年8月以来、半年ぶりの高水準となった。それでも2025年1月の水準と比べると約20%下回っている。
消費者調査ディレクターのジョアン・スー氏は「株式ポートフォリオが最も大きい消費者の信頼感が急上昇した一方、株式を保有しない消費者の信頼感は停滞し、引き続き低迷した水準にある」と指摘した。
米航空業界は大手企業が法人向け出張、ロイヤルティープログラム、フルフラットシートやシャンパンのサービスなどの特典に依存し、収益源を旅客機の前方にある上級クラスの利用者へシフトさせている典型例だ。
デルタのエド・バスティアン最高経営責任者(CEO)は「消費者部門の強みは曲線の上位層にある」とし、「低所得層は苦境にあるが、幸いにも当社はそこに依存していない」と説明した。
大衆市場向け企業は、自社の市場シェアを守ろうと全力を挙げている。
クラフト・ハインツのスティーブ・カヒレーンCEOは11日、26年通期決算の業績見通しの下方修正を発表した際に「消費者心理は悪化し、業界動向は鈍化し、地政学的な不安定性が増している」と説明。
「レイズ」や「ドリトス」などのスナック菓子を複数回値上げしたことが消費者の反発を受けたペプシコは、最大で15%の値下げを実施した。
ペプシコフーズUSのレイチェル・フェルディナンドCEOはロイターに対して「過去1年間、消費者の声にじっくりと耳を傾けてきたが、彼らは負担感を抱いていると訴えている」と語った。
ニューウェル・ブランズも先週、一部ブランドの価格を引き下げた。クリス・ピーターソンCEOは18―24歳の消費者が特に支出を抑制しており、台所用品や文房具の購入減が目立っているとした。
ピーターソン氏や、ホテル運営大手マリオットのリーニー・オバーグ最高財務責任者(CFO)らはK字型経済が短期的に変化する可能性は低いとの見方を示した。
ムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは「高所得世帯(所得上位20%)と低・中所得世帯の消費格差はかつてないほど広がり、拡大を続けている」と指摘した。
BofAの1月の預金データによると、低所得世帯の税引き後賃金・給与増加率は前年同月比で0.9%上昇、中所得世帯は1.6%上昇にそれぞれとどまった。一方、高所得世帯は3.7%上がった。
BofAのアナリストらはリポートに「低所得層と高所得層の賃金上昇率の差はさらに拡大していないものの、縮小もしていない。これが低所得層の消費増が後れをとり続けている理由だ」と記した。
比較的富裕な層をクレジットカードの顧客に抱えるアメリカン・エキスプレスは、プレミアム商品への需要が「非常に強い」と説明。一方、ペイパルは小売りの加盟店全体、特に低・中所得層消費者にしわ寄せが出ていると解説した。
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