- 2026/04/17 掲載
焦点:最高値圏に戻した米株、投機ポジションやオプション取引は一段高示唆
[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米国株は、イラン情勢を受けた売り局面を乗り切って再び最高値圏に浮上した。それどころか株価がさらに上昇することを示唆する材料も少なくない。
米国・イスラエルとイランの戦闘の行方はなお流動的で、エネルギー価格は高止まりしているにもかかわらず、米国株は大きく戻した。そのため市場は小さなバブルではないかとの議論も起きているが、オプション市場の強気ポジションやボラティリティー連動型ファンドの買いなどは、上昇の勢いが持続することを意味している。
カーソン・グループのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ソヌ・バーギーズ氏は「過去2週間でS&P総合500種を押し上げる強力な力が目撃されている。モメンタムがモメンタムを生んでおり、高値更新はモメンタムの表れだ」と述べた。
ヘッジファンドなどいわゆる足の速い投資家の買いは、市場に相応の楽観をもたらしている。
ネーションワイドのチーフ市場ストラテジスト、マーク・ハケット氏は、機関投資家の間では当初悲観論と保守的なポジションが圧倒的だったが、その一部は巻き戻されていると指摘する。
2月末に米国・イスラエルがイランに攻撃を開始して市場が不安定化した際に、株価を大きく下げる役割を演じたボラティリティー連動型ファンドも買い越しに転じ、さらなる支えを提供している。
ノムラによると、こうしたファンド類に属するCTA(商品投資顧問。実際には多種多様な資産を運用する)は過去1週間だけで、株式を約200億ドル相当買い越した。ノムラの推計では、レバレッジETF(上場投資信託)も過去1週間で275億ドル相当を買い増した。
こうしたシステム売買の米国株ポジションは依然として歴史的に規模が小さく、市場の不安定要素となる前にまだ再構築される余地がある、とノムラのクロス資産・株式デリバティブ・ストラテジスト、ジョアンナ・ワン氏は分析した。
高値更新自体が、さらに多くの裁量的な買い手を呼び込む可能性もある。
ベル・エアー・インベストメント・アドバイザーズのトッド・モーガン会長は「投資家が値上がりと高値更新の動きを目にすれば、乗り遅れを恐れて一段と買いを入れる」と説明した。
<オプションの強気化>
足元の主要株価指数の水準を見れば1月終盤とほとんど同じだが、ポジション動向と市場心理は大きく変化した。
サスケハナ・ファイナンシャル・グループのデリバティブ戦略共同責任者を務めるクリス・マーフィー氏は「3月に劇的なポジションの仕切り直しがあった」と語り、投資家は株式の保有不足という状態で4月に入ったとの見方を示した。
その上で「だからこそ激しい相場の後追い」が見られていると付け加え、最近の超強気なオプション取引に言及した。
オプション市場で起こったのは、投資家が相場上昇方向への賭けに支払うプレミアムの度合いを示す「コール・スキュー」の急激な動きだ。具体的には「満期3カ月・25デルタのコール・スキュー」を「アット・ザ・マネーのボラティリティーで正規化」すると、過去3年で最も守りに入った状態から、わずか3週間のうちに最も強気な状態に振れた。
オプション・メトリックスのクオンツ分析責任者を務めるギャレット・デシモーン氏は「歴史的には、地政学的紛争は株式市場に急激な影響を与えるが、それは短期にとどまることが多い。これは紛争が続いているにもかかわらず、株式の予想変動率やスキューが正常化していくという現象と整合的で、市場が次第に事態の収束を織り込み始めることに伴うものだ」と述べた。
<データからも安心感>
歴史も強気派の味方だ。
LSEGのデータをロイターが分析したところでは、1957年以降にS&P総合500種が5-10%の下押しから回復して最高値を付けた場合、上昇はその後2週間から1カ月継続する傾向があることが分かった。
そうした経緯で高値を更新した2週間後のS&P総合500種のリターン中央値は0.66%、1カ月は1.01%で、高値更新後の相場は足踏みではなく、勢いを増してきたことがうかがえる。
戻り高値をつかまされた挙げ句に相場がまた下げ歩調になるのではないかと疑う向きにとっても、過去の経緯は安心感を与えてくれる。
S&P総合500種が5-9.9%の下押し局面を克服した38回のケースでは、その約3分の2で2週間後と1カ月後に値上がりした。
残る3分の1でも下げ幅は限定的で、下落率の中央値は2週間後が1.46%、1カ月後が3.38%だった。
こうしたデータで注目されるのは、高値更新後2週間から1カ月で直近安値を割り込んだケースがゼロという点だ。
ただデータの裏付けがあったとしても、市場における全ての要素が理にかなっているわけではない。
インタラクティブ・ブローカーズのチーフ・ストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「もしも2月末時点で、4月半ばまでに原油先物が30ドル、国債利回りが約35ベーシスポイント(bp)それぞれ上昇して、(米国の)利下げが年内2回あるとの期待が消え去り、さらに消費者信頼感が過去最低に落ち込むと伝えたとしたら、その期間の終わりに主要株価指数が最高値近辺に達している、と合理的に予想できただろうか。答えは間違いなく『ノー』だが、モメンタムが相場を支配する局面では、ファンダメンタルズは脇役に追いやられる」と解説した。
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