- 2020/12/04 掲載
NY市場サマリー(3日)ドルが2年半ぶり安値、S&P反落
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが約2年半ぶりの安値に下落する一方、ユーロは上昇した。米追加刺激策の協議に進展の兆しが出ていることや新型コロナウイルスワクチンを巡る楽観的な見方を受けた。
午後の取引では、主要6通貨に対するドル指数は0.3%安の90.72。一時は90.504まで下げ、2018年4月以来の低水準となった。
安全資産としての魅力が薄れたことで、ドルは対スイスフランでも約6年ぶり安値を付けた。
追加刺激策を巡っては、民主党のペロシ下院議長と共和党上院トップのマコネル院内総務が協議した。共和党は5000億ドル規模の措置を求めているが、民主党は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の対応に余りにも少なすぎるとして拒否してきた。
英国は米ファイザーのコロナワクチンを2日に承認。ワクチンに対する楽観的な見方でリスク選好が強まっており、安全資産のドルが売られている。
OANDAのシニアマーケットアナリスト、エドワード・モヤ氏は「ドルの弱気はすぐには消えない」と指摘。「コロナワクチン配布に日々近づいており、来年にはより迅速な回復が見られるという楽観的な見方が広がっている」と述べた。
米労働省が3日発表した11月28日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は71万2000件と、前週の78万7000件から減少した。アナリスト予想の77万5000件を超えて減少し、これもドルを圧迫した。
ユーロは一時1.2174ドルと、18年4月以来の高値まで上昇。終盤は0.2%高の1.2142ドル。
英ポンドは、英国と欧州連合(EU)の交渉が続く中、対ドルで0.7%高の1.3452ドル。
豪ドルは一時、18年8月以来の最高値を更新。その後は0.4%高の0.7445米ドル。ニュージーランドドルも一時は0.71米ドルを上抜け、2年半ぶりの高値を更新。終盤は0.23%高の0.708米ドル。
ドルは対円で1週間超ぶりの安値に下落し、終盤は0.4%安の103.98円で推移。対スイスフランでは0.36%安の0.8917フラン。一時は15年1月以来の安値に沈んだ。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが低下。4日に発表される米雇用統計に注目が集まった。
10年債利回りは2.6ベーシスポイント(bp)低下し0.9195%。
週間の新規失業保険申請件数は71万2000件と、前週の78万7000件から減少。アナリスト予想の77万5000件を超えて改善したものの、新型コロナウイルス感染拡大が継続し、政府の財政支援策に欠く中、申請件数は引き続き高止まりした。
ヌビーンの債券担当最高投資責任者(CIO)のアンダース・パーソン氏は、失業保険申請件数について「あまり材料視されなかった」と指摘。雇用統計は年内最後の大きな指標イベントになると述べた。
ロイターのエコノミスト調査によると、非農業部門の雇用者数は46万9000人増、失業率は6.8%への改善が予想されている。
コロナ景気対策を巡っては、米共和上院トップのマコネル院内総務が3日、やや前向きな動きも見られるとする一方、合意の時期については明言を避けた。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差であるブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は1.874%と昨年5月以来の高水準。同指標は景気対策への期待から上昇が続いている。
米供給管理協会(ISM)が3日発表した11月の非製造業総合指数(NMI)は55.9と、6カ月ぶりの低水準を付けた。統計を受け国債利回りは低下した。
米財務省は来週、3年債560億ドル、10年債380億ドル、30年債240億ドルの入札を行う。
BofAグローバル・リサーチは3日、米短期国債利回りが来年ゼロ%に到達する可能性があると指摘。財務省短期証券(Tビル)の供給削減や準備金拡大に伴い、連邦準備理事会(FRB)は短期債利回りのコントロールを失う恐れがあるとした。
2年債利回りは1bp低下し0.1545%。2年債と10年債の利回り格差は1bp縮小し76.33bp。
<株式> 米国株式市場ではS&P総合500種が反落して取引を終えた。製薬大手ファイザーが新型コロナウイルスワクチンの初期出荷目標を削減したとの報道が嫌気された。一方、ナスダック総合はテスラ主導で最高値を更新した。
S&P500は最高値圏で推移していたものの、ファイザーがワクチンのサプライチェーンで問題に直面しているとのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を受けて終盤に下落した。ファイザーは1.7%安。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カーディロ氏は「ファイザーのニュースが当初の上昇を削った」とした上で、「相場は年末のサンタクロースラリーのさなかにあるが、控えめな上昇になるだろう」と指摘。「市場では景気対策への期待が再び高まっており、年内に何らかの合意がまとまりそうだ。経済は刺激策を切実に必要としている」と語った。
米労働省が発表した11月28日までの1週間の新規失業保険申請件数は71万2000件と、前週から減少したものの高止まりが続いた。米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業総合指数(NMI)は6カ月ぶりの水準に低下した。
共和党上院トップのマコネル院内総務は3日、 追加経済対策を巡ってやや前向きな動きも見られるとする一方、合意の時期については明言を避けた。
テスラはS&P500への採用を控えてゴールドマン・サックスが投資判断を「バイ」に引き上げたことを好感し、4.3%高となった。
ボーイングも、ライアンエアが「737MAX」を75機追加発注したこと手掛かりに6%上昇した。
S&Pの主要11セクターではエネルギーなど6セクターが上昇した。
米取引所の合算出来高は115億株。直近20営業日の平均は117億株。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.02対1の比率で上回った。ナスダックでは1.51対1で値上がり銘柄数が多かった。
<金先物> 米追加経済対策の成立をにらんだインフレヘッジ目的の買いが優勢となり、3営業日続伸した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比10.90ドル(0.60%)高の1オンス=1841.10ドル。
新型コロナウイルス危機対応の追加経済対策をめぐる米与野党の溝は依然として埋まっていないものの、超党派グループが提示した9080億ドル規模の救済案を軸に、いずれまとまるのではないかとの楽観的な見方が台頭。新たな財政出動によって将来的に物価上昇圧力が高まるとの思惑から、ヘッジ目的での金塊買いが膨らんだ。
この日朝発表された米経済指標はまずまずの内容で、相場は午前に一時マイナス圏に転落。最新週の新規失業保険申請件数が3週ぶりに減少したほか、11月の米サプライ管理協会(ISM)サービス業購買担当者景況指数(PMI)も5カ月連続で好不況の節目である50を上回り、安全資産としての需要を下押しした。ただ、経済対策協議の進展を伝える共和党上院トップの発言が報じられたほか、外国為替市場でのドル安・ユーロ高の進行などが追い風となり、その後は再び堅調に転じた。
<米原油先物> 主要産油国が合意した減産規模の縮小について、緩やかな生産増にとどまるとの見方から買いが優勢となり、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比0.36ドル(0.80%)高の1バレル=45.64ドルだった。2月物は0.35ドル高の45.79ドルとなった。
石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は3日、テレビ会議で閣僚級会合を開催。現行の日量770万バレルの協調減産は今年末までとし、来年1月以降は毎月50万バレルずつ産油量を増やしていくことで合意した。新型コロナウイルスのワクチン普及による需要回復を見込んだ判断。減産規模を1月から580万バレルに縮小する案や、来年3カ月まで現行のまま延長する案が浮上していた。
OPECプラス会合の結果が伝わった直後は、売り買いが交錯。ただ、需給バランスを大きく崩すことはなさそうだとの安心感が広がり、買い優勢の展開となった。 外国為替市場では、ドル安・ユーロ高が進行。ドル建てで取引される原油など商品の割安感も原油買いを支援した。
ドル/円 NY終値 103.83/103.85
始値 104.26
高値 104.29
安値 103.68
ユーロ/ドル NY終値 1.2140/1.2144
始値 1.2127
高値 1.2175
安値 1.2119
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*08.50 1.6562%
前営業日終値 98*05.00 1.7040%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.00 0.9112%
前営業日終値 99*10.50 0.9460%
5年債(指標銘柄) 16時57分 99*28.75 0.3956%
前営業日終値 99*24.75 0.4210%
2年債(指標銘柄) 16時05分 99*30.25 0.1526%
前営業日終値 99*29.50 0.1640%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 29969.52 +85.73 +0.29
前営業日終値 29883.79
ナスダック総合 12377.18 +27.82 +0.23
前営業日終値 12349.37
S&P総合500種 3666.72 -2.29 -0.06
前営業日終値 3669.01
COMEX金 2月限 1841.1 +10.9
前営業日終値 1830.2
COMEX銀 3月限 2413.7 +5.7
前営業日終値 2408.0
北海ブレント 2月限 48.71 +0.46
前営業日終値 48.25
米WTI先物 1月限 45.64 +0.36
前営業日終値 45.28
CRB商品指数 159.3106 ‐0.1100
前営業日終値 159.4206
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