- 2020/12/04 掲載
アングル:中国銀行セクター、第3四半期の減益率縮小で回復の兆し
株式時価総額上位24行の第3・四半期の決算を分析したところ、利益は合計で4.8%の減少にとどまった。第2・四半期の減益率は24%だった。
融資の急増と貸倒引当金の減少が利益を支えたことが読み取れる。
ナティクシスのアリシア・ガルシア・ヘレロ首席エコノミストは「中国の銀行は新型コロナウイルスの大流行で大打撃を受けたが、回復の最初の兆しが見えている」とリポートに記した。
ガルシア・エレロ氏によると、第3・四半期は資産の増加率が11%と、昨年の8.1%から加速している。「金融政策の姿勢は2020年6月から慎重化したが、それでも融資は19年よりも速いペースで伸びている」
中国銀行業監督管理委員会(銀監会)のデータによると、商業銀行の貸倒引当金比率は第3・四半期に3.53%と、わずかながら前期を下回った。
華泰証券のアナリスト、シェン・ジュアン氏は、21年は中小企業、民間企業、インフラ部門への政策支援が融資を押し上げ、上場銀行の純利益が7.1%増加すると予想した。
今年は中国の株式市場全体は25%上昇したのに対し、銀行株は約7%下落している。
リフィニティブのデータによると、MSCI中国銀行株指数の1年後の利益予想に基づくPERは11月末時点で4.67倍と、9月の4.4倍をわずかに上回ったものの、過去5年間の最低水準に近い。
ジュアン氏は、当局が資本市場の開放を加速し、中国株への投資流入が増えれば、銀行株のPERは上昇するとみている。
しかしアナリストらによると、銀行セクターは利ざやや資産の質の点でいくつか課題を抱えている。
上海銀行間取引金利は今年上昇したものの、融資の基準金利となるローンプライムレートはほとんど変化していない。金利利ざやが圧縮されている様子だ。
中国の国営企業3社がデフォルト(債務不履行)を起こしたこともクレジット市場を揺さぶっており、銀行が貸倒引当金の積み増しを迫られかねないとの懸念が生じている。
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