- 2020/12/07 掲載
菅政権が8日決定する追加経済対策案
<現状認識と経済対策の考え方>
1)新型コロナウイルス感染症の状況と経済の現状
GDPギャップは7―9月も相当程度存在し、経済水準はコロナ前を下回った状態。経済回復は未だ途上。デフレへの後戻りを避けるためにも力強い経済対策を講じ、来年度中には日本経済をコロナ前の経済水準に回復させ、民需主導の成長軌道に戻す。
2)経済対策の考え方
家計や企業の不安に対処すべく万全の「守り」を固めるとともに、新たな時代への「攻め」に軸足を移すという、2つの大きな視点から成る。感染拡大防止とコロナ後の経済構造の転換、国土強靭化の3本柱とし、民需主導の成長軌道を確実にする。
政府は、日銀と強い緊張感を共有し、財政政策と金融政策の適切なポリシーミックスの下で緊密に連携する。日銀には感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行うことを期待。
<取り組む施策>
1)感染症の拡大防止
・医療提供体制の確保と医療機関支援
「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」を増額し、医療提供体制を強化。
・検査体制の充実、ワクチン接種体制整備
PCR検査の保険適用自己負担分の公費負担に加え、抗原検査キットの増産支援など検査を確実に受けられる体制を確保。ワクチン接種費用の国費負担など接種体制整備に万全期す。
・知見に基づく感染防止対策の徹底
地方創生臨時交付金に設けた「協力要請推進枠」により地方公共団体による機動的な対応を支援。同推進枠を追加することを含め、同交付金を拡充。
・感染収束に向けた国際協力
途上国の感染症収束に向けワクチン・薬への公平なアクセス確保を支援。特許権プールの設立および治療薬の供給促進など国際協力を一層拡大。
2)ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現
・デジタル改革、グリーン社会の実現
行政手続きのデジタル化を抜本的に加速。J―LIS(地方公共団体情報システム)に時限的な基金を創設。年度末までにマイナンバーカード申請を行えばマイナポイントの付与対象とする。教育、医療・福祉のICT化を一層推進。
データ主導の「超スマート社会」の実現には5Gより高度な通信インフラが必要。ポスト5Gおよび先端半導体の開発・製造を強化。適当でないものを除いて全ての行政手続きを5年以内にオンライン化。
来年の株主総会に向けてバーチャル株主総会を開催できるよう、2021年の通常国会に関連法案を提出。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガス排出の約85%をエネルギー起源CO2が占めていることを踏まえ、エネルギー分野の変革や製造業の構造転換図る。国際協力銀行(JBIC)や国際機関を通じ、世界のグリーン化に向けた国際的な貢献行う。
20年1月に創設した「成長投資ファシリティ」を再編し、JBICを通じた脱炭素社会に向けた海外事業活動を支援する「ポストコロナ成長ファシリティ」に外為特会を原資に資金拠出。
・経済構造の転換、イノベーションによる生産性向上
新たに事業再構築補助金を創設し、中小・小規模事業者の業態転換や事業再編促す。設備投資費用を最大1億円補助する。資金繰り支援では民間金融機関を通じた実質無利子・無担保融資を来年3月まで実施。日本政策金融公庫の実質無利子・無担保融資は来年前半まで継続。
ポストコロナも見据え、金融機関がデジタル化や地方創生など持続可能な経済社会の構築に資する業務を幅広く営むことを可能とするため、銀行の業務範囲規制を見直す。人口減少地域の金融機能を維持するため、合併・経営統合などの抜本的な経営基盤強化を行う地域金融機関に対する資金交付制度を創設。
デジタルやグリーン、宇宙、量子技術含む研究基盤を抜本的に強化。世界に伍する規模の大学ファンドを創設し、その運用益を活用。海外の資金を運用する海外事業者を簡素な参入手続きで受け入れ可能とする特例の創設などで、世界に開かれた国際金融センターを実現。
・地域、社会、雇用における民需主導の好循環実現
GoToトラベルは段階的に見直しながら延長し、6月末までとすることを基本の想定としつつ柔軟に対応。イート事業も6月末を期限とした食事券についてプレミアムを引き下げて追加発行する。雇用調整助成金の特例措置は2月末まで延長。
・家計の暮らしと民需の下支え
低迷する住宅投資に税制やポイント制度。脱炭素化を見据えグリーン住宅ポイント制度を創設。ひとり親家庭への支援を強化。
3)防災・減災、国土強靭化の推進など安全・安全の確保
事業規模15兆円の5カ年計画は初年度分を20年度3次補正予算で措置。
4)コロナ対策予備費の適時適切な執行
※一部抜粋して構成
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