- 2021/01/25 掲載
世界の生保、コロナ関連申請に待機期間 後遺症など不明点多く
新型コロナに感染した人の中には回復しても呼吸器の問題や倦怠感などの異常を長く抱える人もいる。キングス・カレッジ・ロンドンの研究者によると、回復から3週間経過した段階で、10%が何らかの不調があり、数カ月続く人は5%に上るという。
生保業界関係者によると、米プルデンシャル・ファイナンシャル、英アビバなどは、すでに回復した人も含めコロナ感染者に対し保険申請に待機期間を設けている。
新型コロナの影響は、身体面のみならず、隔離による疎外感といったメンタルの部分にも及ぶ。新型コロナに関連した死亡、長期療養、後遺症を理由とした保険支払い申請がどの程度になるか、まだ予想はつかないが、影響が十年単位に及ぶ可能性もあると生保各社は懸念している。
再保険会社オプティマム・リー・インシュランスのチーフ・メディカル・ディレクター、パウロ・バンデイラ・ピンホ博士は「一企業として、モデリングの戦略化を試み、ある程度の成果はあったが、まだ予測できる状況には程遠い」と述べた。同社はプルデンシャルなどの顧客保険会社と協議し、長期的リスクや想定される財務インパクトを検証したという。
プルデンシャルは現在、回復したコロナ感染者に対し最低30日の申請待機期間を設定している。「結局、コロナの長期的影響の多くがまだ分かっていない。長期的影響に関する理解が進むに伴い、われわれの(保険)引き受け方針も必要に応じて調整することになるだろう」とプルデンシャルの幹部は話した。
2020年の世界データはまだ発表されていないが、米アクチュアリー会によると、20年4─8月の生命保険金支払い請求の8%がコロナ感染症による死亡を受けたものだった。
生保各社はロイターに対し、今のところ影響は軽微だとしている。英生保LV=ではコロナ関連の申請は全体の2%にとどまり、アビバは10件中9件超の割合で支払いに応じているという。それでも長期的リスクを想定し、予防的な措置を取っている。
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