• 2021/02/03 掲載

名目金利、必要なら「下げていく政策操作も」=若田部日銀副総裁

ロイター

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[東京 3日 ロイター] - 日銀の若田部昌澄副総裁は3日午後の記者会見で、現在進めている金融緩和策の点検について、政策の持続性、有効性に加えて機動性がキーワードになると述べた。急激な経済の変動や次の危機への備えは常に考えるべきであり、そうした事態が起きた時に有効な手段があり得るのか点検するという。また、2%の物価安定目標達成を目指すというコミットメントがある中で、名目金利に関して、状況次第では「それを下げていくという政策操作が必要になってくる」と述べた。

日銀は、基本的に現行政策の長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の枠組みは、方向としては間違っていないと説明しており、若田部副総裁は、これまでになぜ2%の物価目標を達成していないのかということも点検の重要項目になると語った。

「2%に達していないので2%をあきらめるべき、という議論には全く賛成しない。長年やっていないのに達成できないのは目標が悪いと言われているが、目標は正しいと考えている」と反論。現行の緩和政策の効果が及んでいる範囲や程度なども点検作業の中で出てくるとした。

点検では、マイナス金利を深掘りしやすくするために政策の副作用への対応をとることも議論になるのかという問いには「点検の作業中なので、詳細について話すのは控えたい」と述べるにとどめた。

市場の一部では、日銀がグリーン・デジタル関連への投資を増やす企業に金融機関経由で資金が流れる仕組みを検討するのではという観測もあるが、「点検という枠組みで考えた際、そういうところまで踏み込むというのは点検の範囲ではない」と述べた。その上で、長期的にグリーンやデジタルにかかわらず成長力をいかに強化するか、そこに金融がいかに関われるのかは大きなテーマであり、「今後とも議論と検討を重ねていきたい」と語った。

<為替、経済・物価への影響を注視>

若田部副総裁は「現代の金融政策の基礎に当たるのは名目金利ではなく実質金利を動かすこと。日銀の現在の政策の枠組みの基礎でもある」と述べた。先行き実質金利が非常に急騰することが起きないように政策運営するべきで、YCCあるいは予想インフレ率にどう働き掛けるかが重要だと語った。

この枠組みを前提とすれば、2%の物価安定目標の達成を目指すというコミットメントが重要だとし、そのコミットメントがある中で、名目金利に関しては、状況次第では「それを下げていくという政策操作が必要になってくる」と述べた。

日銀は、消費者物価の前年比について、当面マイナスで推移するとみられるものの、その後は一時的要因の剥落や経済の改善などでプラスに転じ、徐々に上昇率を高めていくという展望を示している。

若田部副総裁は、資産価格の大きな変動が経済の大きな振幅、デフレに陥った背景にあると指摘。金融政策は為替自体を目的としたものではないものの、中間段階で見ておくべきものであり、経済・物価への影響を注視していく必要があると述べた。

若田部副総裁は午前の神奈川県金融経済懇談会のあいさつで、日銀の政策点検について「いかに効果的な金融緩和を機動的に行うかが議論の焦点になる」と語っていた。

*中見出しを修正して再送します。

(木原麗花、杉山健太郎 編集:内田慎一)

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