• 2021/02/04 掲載

アングル:韓国の現代自、アップルとの自動車生産提携は吉か凶か

ロイター

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[ソウル/サンフランシスコ 29日 ロイター] - 韓国の自動車最大手、現代自動車グループの幹部は、米アップルとの提携の可能性を巡って意見が割れている。一部の幹部はアップルの委託製造業者になり下がるのを懸念している。提携合意の見通しは明るくはない。

現代側は今年1月、アップルとの予備的協議に入っていると発表したが、詳細は明らかにしなかった。韓国メディアは、両社が電気自動車(EV)とバッテリーでの提携を協議していると報じた。

アップルが現代との自動車生産交渉を認めたことはなく、そうした協議が今も継続しているのかは不明。アップルは将来の計画や未発表の商品について、可能性のある提携相手やサプライヤーに厳格な情報守秘を求めることで知られている。

現代が3年ぶりの好利益を発表した26日の昨年第4・四半期決算発表では、同社はアップルとの協議の最新情報を一切示さず、交渉が生きているかも示唆しなかった。

<現代の自前主義が壁に>

アップル提携協議に詳しい、ある同社幹部は「どう対処するか、提携が吉と出るのかそうでないのかでわれわれは悩んでいる」と語る。「われわれは他社の代理で車を作る会社ではない。アップルとの協業が常に素晴らしい結果を生むとは限らない」という。

協議の具体的な内容はほとんど明らかになっていない。しかし消息筋によると、検討されている選択肢には、現代ないしグループ傘下の起亜がアップル設計車を製造し、アップルのブランドで売ることが含まれている。

現代は伝統的に外部企業との提携をしたがらないことで知られる。国内第2位の財閥グループとして、垂直統合型のサプライチェーンの下、エンジンもトランスミッションも、鋼板さえも自前で作る。

提携協議の報道で現代株も起亜株も大きく買われたとは言え、消息筋によると、アップルの下請けとなることにはかなりの反対がある。これがいかなる合意も阻む可能性があるという。

消息筋によると、アプルと現代が最初に自動車の提携協議を始めたのは2018年。当時はアップルの幹部アレキサンダー・ヒッツィンガー氏が「プロジェクト・タイタン」の名称で知られる計画を率いていた。同氏は現在、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の幹部だ。しかし、現代側が外部企業との協業に乗り気でなかったため、進展がそがれたという。

こうした過去の協議はこれまで報じられていなかった。

<傘下の起亜自動車が提携か>

この消息筋は「(現代が)扉を開けるのはとても難しい」とぼやく。同社がアップルと何らかの提携で社風の衝突を回避するには、一部の幹部をすげ替えないといけないかもしれないと話す。「アップルがボスになる。彼らがマーケティングをし、製品を決定し、彼らのブランドで売る。ところが現代にとっては、ボスは自分たちだ。これではうまく回らない」と説明した。

ただ、現代の生産設備は過剰だ。製造を受託すれば生産量の問題を解決するのに役立つとみられる。

別の消息筋によると、アップルは自分たちが独自に設計した主要部品を、フレームからボディー、ドライブトレーンに至るまでさまざまなサプライヤーに受託し、現代か起亜には最終組み立てだけを頼ることを好みそうだ。「最終組み立ては米国で行いたがるだろう」とも指摘する。

現代の内部関係者によると、協議はまだ初期段階にあるものの、現代グループは現代自動車でなく起亜にアップルと組むことを求めることを暫定的に決めたという。「現代グループは、現代自動車のブランドがアップルのただの下請けになってしまうのを懸念しており、そういう事態は、現代がジェネシスブランドでイメージを高級化させる取り組みの助けにならないとも懸念している」という。

一方の起亜はEVへの取り組みを加速してもいるし、同社のジョージア州工場を使うこともできる。

<「鴻海」化は避けたい>

現代の別の幹部は、「グーグルやアップルのような巨大IT勢はわれわれに(スマートフォンの生産を受託する)鴻海精密工業のように振る舞ってもらいたいのだ」と指摘。「アップルと提携すれば、最初は現代や起亜のブランドイメージ向上に役立つかもしれないが、中長期的に見ると、われわれは単に車の骨組みだけを提供し、アップルが心臓部を牛耳ることになる」と警戒する。

ただ、バッテリーの専門家で瑞靖大学教授のパク・チュルワン氏によると、アップルと現代が提携すれば、双方が互いに恩恵を得られる分野は幅広い。現代のEVプラットフォームや、バッテリーメーカーなどのサプライヤーにアクセスできるようになる一方で、アップルの自動運転車やソフトウエアにアクセスが可能になる。

同氏は現代が鴻海のような純然たる委託生産業者に陥る懸念はないとの見方を示した。

(Hyunjoo Jin記者、Stephen Nellis記者)

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