- 2021/03/08 掲載
米FRBとバイデン政権、「包摂的」労働市場に長い道のり
だが、コロナ禍前の雇用水準に到達するまでの道のりや、雇用統計の詳細を考慮すると、米連邦準備理事会(FRB)が「包摂的」な最大雇用に向けた取り組みの一環で注視するようになった人種間の公平に関する主要な指標の1つは低迷している。
調査会社コーナーストーン・マクロが開発した手法を使って22の指標をまとめた労働市場指数は小幅に改善し、1990年代の高水準にやや近づいた。
しかし、バイデン政権から見れば、非農業部門雇用者数は2月に37万9000人増加したものの、依然として2020年2月の水準を約940万人下回っている。
クレイン大統領首席補佐官はツイッターで「きょうの雇用統計を『十分に良好』と思うなら、このペースだと元の水準に戻るのに2023年4月までかかるということを理解すべきだ」と指摘した。
FRBも同様の見方をしている可能性がある。FRBは12月、最大雇用の回復とインフレ目標の達成に向けて「さらなる著しい進展」が得られるまで金融政策を変更しない考えを示した。
それ以来、一部の指標は改善した。ただ、FRBは最大雇用を以前より幅広いレンズで見るようになっており、2月の雇用統計ではそうした目標の達成から一歩後退した。2月は黒人の失業率が上昇し、白人の失業率との差が8月以降初めて拡大した。人種・民族別で雇用者数が減少したのは黒人のみだった。
教育水準も格差の一因となっている。2月の雇用増は全て、少なくとも一定の大学教育を受けた人が占め、受けていない人の雇用は減少した。
ただ、ワクチン接種の影響が表れ、日常生活の正常化が進むにつれていずれは経済が急成長を始めると予想される中、前向きな兆しも見られた。2月の雇用増の大部分は、コロナ禍で昨年最も大きな打撃を受けた娯楽・接客業が占めた。
労働時間管理サービス会社ホームベースは、自社のデータで飲食店や小規模事業者に春の雪解けの兆候が見られたとしている。
同業のUKGのデータでも、さまざまな業種でシフト労働が増加し、月の後半にペースが加速したことが示された。
UKGのデーブ・ギルバートソン副社長は「雇用回復は今後数カ月間に加速する見込みだ」とし、「営業休止などの開始から1年となる3月は、春の回復見通しのお膳立てになるだろう」と語った。
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