- 2021/03/09 掲載
カナダ中銀、早期利上げ論の火消しに走る公算大
中銀は2023年までカナダ経済が潜在成長率を下回ると予想し、同年まで政策金利を過去最低の0.25%に維持する可能性を示すフォワードガイダンスを出している。
一方、先週発表された同国の2020年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比9.6%増と、中銀予測の2倍の伸び率となった。好調なデータに伴う利上げ期待の高まりは、市場の金利やカナダドルを押し上げ、時期尚早に金融引き締め効果が出る可能性があるとアナリストは予想する。
意図せぬ金融引き締めは、景気回復を阻害しかねない。こういった状況下、中銀は10日に政策決定会合を開く。
TD証券のカナダ担当首席ストラテジスト、アンドリュー・ケルビン氏は「中銀は見通しが改善していることを認めざるをえない」と指摘。「同時に、短期的な利上げ期待の暴走は招きたくないはずだ」とした。
短期金融市場は2022年末までに40ベーシスポイント(bp)の利上げを行うとの見通しが織り込まれており、2月中旬の10bpから拡大している。長期金利も上昇し、住宅ローン金利は2020年1月以来初めて上昇した。
住宅市場の過熱やカナダの主要輸出品である原油の価格急騰、米財政刺激策の進展を背景にカナダ経済の見通しは、ここ数週間で大きく改善した。それでもなお、中銀は労働市場の完全回復には時間がかかると強調する公算が大きいとアナリストは分析する。
キャピタル・エコノミクスのシニア・カナダ・エコノミスト、スティーブン・ブラウン氏は、リポートで「中銀は最近の動きについて、市場の価格形成があまりにも性急で行き過ぎていると見なすだろう」と予想。「長期間現行の政策金利を維持するとのコミットメントを強化する」公算が大きいと述べた。
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