- 2022/10/05 掲載
アングル:マスク氏のツイッター買収再提案、銀行は大損の可能性
大型買収の場合、銀行は債権を売却し、帳簿から取り除くことを検討する。しかし、投資家は世界的な金利急上昇、景気後退への懸念、市場の変動に動揺し、レバレッジドローンなどの高リスク債務に対する意欲を失っている。
マスク氏は電気自動車(EV)メーカーであるテスラの株式を売却し、大口投資家からのエクイティファイナンスに頼ることで440億ドルの大部分を賄う予定だが、大手銀行は125億ドルの提供を約束している。
これにはモルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズが含まれるほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ、BNPパリバ、みずほフィナンシャルグループ、ソシエテ・ジェネラルもシンジケート団に加わっている。
10人以上のバンカーや業界アナリストはロイターに対し、レバレッジドファイナンスで銀行が最近大きな損失を出したことに触れ、債権を売却しようとしている銀行にとって見通しは悪いと語る。
ツイッターを巡る債権パッケージは、65億ドルのレバレッジドローン、30億ドルの有担保債券、30億ドルの無担保債券で構成されている。
ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏は「銀行からすればこれは理想的とは言えないが、この案件には融資するしかない」と指摘する。
レバレッジドファイナンスに詳しい関係者も以前、ロイターに対し、ツイッター案件に関与したウォール街銀行の潜在的損失は数億ドルに上る可能性があると語っていた。
各銀行はコメントを避けた。ツイッターもコメントを控えた。マスク氏からは今のところコメントを得られていない。
先週には、アポロ・グローバル・マネジメントによるルーメン・テクノロジーズの通信・ブロードバンド資産買収案件を巡り、銀行団は融資した39億ドルの債権売却計画を中止せざるを得なくなった。
また、ビジネスソフトウエア会社シトリックス・システムズのレバレッジド・バイアウト(LBO)を支援する約45億5000万ドルの債権売却で、銀行団が7億ドルの損失計上を迫られるケースもあった。
ケルナー・キャピタルの合併裁定担当ポートフォリオマネジャー、クリス・パルツ氏は「銀行はツイッターのために厄介なことに巻き込まれている。数週間前にシトリックス案件で大きな損失を出し、今回の案件でさらに大きな頭痛の種に直面している」と述べた。
銀行は、シトリックスなどの案件がバランスシートの重荷になっているため、レバレッジドファイナンスから手を引かざるを得なくなっており、この状況はすぐには変わりそうもない。
ディールメーキングの見通しが悪化したため、米国の銀行は第2・四半期にレバレッジドローンのエクスポージャーが打撃を受け始めている。
銀行の第3・四半期決算発表は来週に始まる。
(Anirban Sen記者、additional reporting by Megan Davies, Lananh Nguyen, Sheila Dang and Hyunjoo Jin)
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