関西のオバチャンの財布は、ぶ厚い。なぜならポイントカードで溢れているから。スーパーは元より、美容院、映画館、ガソリンスタンドに至るまで。最近はスタンプを押していくタイプでなく、小さな店舗でもPOSと連動させたポイント加算をするシステムが多い。これらは、いわゆるITの副産物だ。

　通常は利用回数や金額に応じて値引きや無料券の発行などを行うが、デフレで単価が下がっている上に値引きをするのは、かなりキツイ。かといって、作らないと、ポイントカードが普通になってしまっている関西のオバチャンの心は掴めない。

　そこで台頭してきたのが“渋いポイント加算“。大阪府堺市にある大型ショッピングセンター「ダイヤモンドシティーブラウ」のDIAMOND CITYカードは人の心理をうまく利用したポイント加算をおこなっている。

　このカードは、105円毎にカードスキャナーにより1ポイントが加算される。ここまでは普通だが、50ポイント貯まると値引きでは無く、スロットゲームにチャレンジ出来るところが面白い。店内に設置されたスロットマシンにカードを入れると液晶画面に表示されたスロットが回転し、“7”が3つ揃うと500円分の買い物券、“BAR”が3つ揃えば100円分の買い物券がプリントアウトされる。

　客はクジに外れてキャッシュバックが無くても文句を言わず、金券が当たるまで買い物を続ける。人のギャンブル心にうまく火を付けたシステムだ。外れても残念賞として5ポイントがもらえるのも渋い。

　大阪に本社を持つスーパーイズミヤは関西圏を中心に関東でも店舗展開をおこなっている。このポイントカードはエコをうまく利用している。通常は200円の買い物毎に、1ポイント加算され、500ポイントで500円分の買い物券と交換できるが、スーパー袋が不要と申し出ればエコポイントが5ポイント加算される。
　企業イメージが上がるうえ、スーパー袋の節約にもなるという、まさにダブルポイント。これもなかなか渋いサービスだ。

　大阪市天王寺区にあるアポロシネマは8館が同居したシネマコンプレックス。ここのカードは3年間で1,000円の会費が必要になるが、なかなかの特典が用意されている。まずは、8回見ると1回無料になる。これは他の映画館でも同様のサービスがあることだろう。
では、何が特徴かというと、インターネットでチケットレス予約ができることと、入館料が200円割引されること。さらにポップコーンがもらえる。他にも56回見ると1,000円分の買い物券がもらえる。
56回というとなかなかのように聞こえるが、2ヶ月で3回見れば実現する。これもかなり渋い感じだ。
渋い付加価値で客を巻き込む関西流ポイントカードは顧客の心をガッチリ掴んで離さないのだった。