- 2007/04/24 掲載
【アウトソーシング市場調査】コンプライアンスや見える化などが市場拡大要因
・国内アウトソーソシング市場において、人事、カスタマーケア、財務・経理、調達・購買業務分野にお ける2006年の市場規模は8,346億円(前年比6.2%増) ・2006年から2011年までの年間平均成長率は4.9%、2011年の市場規模は1兆円を超える見込み ・2007年以降、特に財務・経理、調達・購買業務分野は、コンプライアンスや事業環境変化への対応を背 景に高い成長を継続 |
IDC Japanは、2011年までの国内ビジネスアウトソーシング市場規模の予測を発表した。発表によると、人事、カスタマーケア、財務・経理、調達・購買業務分野における2006年の国内ビジネスアウトソーシング市場規模は前年比6.2%増の8,346億円だった。同市場は、2006年から2011年にかけて年間平均成長率4.9%で推移し、2011年の市場規模は、1兆594億円に達するという(図参照)。
同市場は、企業の間接/非コア業務、労働集約的な業務を中心に、コスト削減や効率化、人材やスキルの補填を目的として拡大している。セグメント別に見ると、人事、カスタマーケア業務サービスはすでに市場規模も大きく、サービスベンダー側における人材不足といった市場成長の阻害要因も抱え、成長率は徐々に鈍化している。一方、財務・経理、調達・購買に関わる業務サービスは、コンプライアンスや事業環境変化への迅速な対応を目的としたニーズの高まりを受け、2007年以降も高い成長を遂げると予測している。
国内の経済が継続的に拡大し、業績も好調を維持する一方で、企業は依然としてコスト削減の姿勢を緩めていない。企業の人材戦略も、ストックの人材である正社員だけでなく、フローの人材、業務全体のアウトソーシングを組み合わせて効率化を図ろうとする方向に向かっている。こういった企業のニーズが国内ビジネスアウトソーシング市場拡大の1つの要因になっている。さらに、金融商品取引法が要請する内部統制に代表されるコンプライアンス対応や、業務の「見える化」への要請、市場変化への即応といった新たなニーズも生まれており、市場成長を加速する別の要因になっている。
成長を続ける国内ビジネスアウトソーシング市場だが、ITベンダーなど新規ベンダーの参入、IT化による価格低減、サービスを担う人材の不足といったサプライサイド側を中心とした不安定要素も見られる。これらはサービスベンダー間の競争を激化させる要因にもなる。
「サービスベンダーは、個々の業務におけるユーザー企業のニーズに対応し、サービスを提供していくだけでは競争に勝ち残ることが難しくなっていく」「ユーザー企業のビジネス全体を見たうえで業務の『改革』を先導するような姿勢、サービスの提供が求められるが、そういった付加価値を生み出すためには、ベンダー自らのビジネスモデルを今一度見直す必要も出てくるであろう」、とIDC Japan ITサービス シニアマーケットアナリスト 寄藤幸治氏は述べている。
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国内ビジネスアウトソーシング市場 セグメント別規模予測、2006年~2011年 |
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