- 2023/08/15 掲載
実質GDP4─6月期は年率6.0%増、実額は過去最高 外需がけん引
[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日発表した実質国内総生産(GDP)1次速報で、4―6月期の成長率は前期比1.5%、年率換算で6.0%だった。伸び率は20年10─12月期以来の高さで、実額は560兆7401億円と過去最高となった。外需がけん引した一方、個人消費はマイナスに転じており、内需の弱さによって高成長は続かないとの指摘も出ている。
実質GDPは3四半期連続のプラスで、市場の事前予想を上回る成長となった。ロイターが民間調査機関18社を対象にまとめた予測中央値は、前期比0.8%増、年率換算3.1%増だった。
企業の設備投資は同0.03%増と、2四半期連続プラス。デジタル化の進展などを背景としたソフトウエア投資が底堅く推移した。民間住宅投資は1.9%増で3四半期連続プラス。公共投資は1.2%増で5四半期連続プラスとなった。
一方、GDPの過半を占める個人消費は前期比0.5%減と3四半期ぶりにマイナスに転じた。外食・宿泊などがプラスに寄与したが、飲食料品・白物家電などが減少した。
信金中央金庫地域・中小企業研究所の上席主任研究員、角田匠氏は「物価上昇の高い食品など非耐久財が個人消費の下押し圧力になっている。日本経済が力強く回復しているという内容ではない」と指摘する。
<内需の弱さへの指摘も>
GDP全体に占める内需の寄与度は0.3%のマイナス。外需の寄与度は1.8%のプラスで、そのうち1.1%は輸入の減少によるものだった。
輸出は3.2%増と2四半期ぶりプラス。半導体の供給制約が和らいで生産が回復してきた自動車の輸出や、外国人観光客の拡大が押し上げに働いた。輸入は4.3%減と3四半期連続マイナス。鉱物性燃料や医薬品などの減少が影響した。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは「高成長の主因は控除項目である輸入の大幅減で、内容は良くない。7─9月期も中国からの団体旅行復活も含めてインバウンド消費は増加する見込みだが、内需の弱さによって高成長は続かない」との見方を示す。
後藤茂之経済再生相は会見で、雇用・所得環境改善、企業の旺盛な設備投資意欲などを背景に「景気の緩やかな回復が続くことが期待される」としつつ、「物価上昇の影響や海外景気の下振れリスクには引き続き十分注意が必要」と強調した。9月に終了予定のガソリン、電気・都市ガス補助金については「物価や経済、燃料価格動向をみて適切に対応を考えたい」と語った。
(杉山健太郎 取材協力:小宮貫太郎 編集:田中志保、石田仁志)
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