- 2023/08/16 掲載
NY市場サマリー(15日)ドル横ばい・元下落、利回り上昇 株反落
7月の米小売売上高は前月比0.7%増加し、市場予想の0.4%増を上回った。米連邦準備理事会(FRB)の積極的な利上げにもかかわらず、賃金の力強い伸びを背景に消費者が堅調を維持している様子が浮き彫りとなった。
ドル指数は一時102.8まで下げた後、終盤の取引では0.058%高の103.2。前日の取引では1カ月半ぶりの高値となる103.46を付けていた。
ドルはオフショア人民元に対し0.5%超上昇し、9カ月ぶりの高値となる7.3307元を付けた。
中国人民銀行は15日、1年物の中期貸出制度(MLF)金利を市場の予想に反して引き下げた。引き下げは過去3カ月で2度目となる。
また、15日発表された7月の一連の中国経済指標は、さらなる景気減速を示す内容となった。
ドル/円は一時145.865円と、6カ月ぶり高値を付けた後、145.25円まで下げた。終盤の取引では145.66円近辺で推移した。
市場では日本当局が介入のシグナルを示すか注視されている。前出のシャモッタ氏は、中国と日本の当局はともに「自国通貨の一段安をおおむね容認しているようにみえるが、為替市場で無秩序な動きが出れば介入する用意があるのは確かだ」と述べた。
鈴木俊一財務相は15日の閣議後会見で、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要との認識をあらためて示した。
ポンド/ドルは0.16%高の1.2705ドル。
英国立統計局(ONS)が発表した4─6月の賃金はボーナスを除いたベースで前年比7.8%上昇し、上昇率は2001年に集計を開始して以来の最高を記録した。
金融市場では、イングランド銀行(英中銀)が次回会合で少なくとも0.25%ポイントの追加利上げを実施すると予想されている。
ユーロ/ドルは横ばいの1.09045ドル。
<債券> 10年債利回りが一時約10カ月ぶりの水準に上昇した。7月の小売売上高が予想を上回って増加したことで、FRBがインフレ抑制に向け、より長期にわたり金利を高水準にとどめるとの観測が高まったことが背景。ただ10年債利回りはその後は失速した。
ノムラ(ニューヨーク)の米金利戦略部門責任者、ジョナサン・コーン氏は、金利が現在想定されているターミナルレート(政策金利の最終到達点)近辺に、現在の予想よりも長い期間にわたりとどまるとの観測が織り込まれたとしている。
10年債利回りは一時4.274%と、昨年10月24日以来の水準に上昇。ただ午後の取引で4.215%に戻した。
2年債利回りも上昇し、一時は5.024%と、7月7日以来の高水準を付けたが、その後は4.952%に下げた。
10年債と2年債の利回り格差はマイナス74ベーシスポイント(bp)に縮小した。
市場はFRBが16日に公表する7月26─26日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に注目。米ワイオミング州ジャクソンホールで8月24─26日に開かれる経済シンポジウム「 ジャクソン ホール会議」も注目されている。
金利先物市場では、12月のFOMC時点の政策金利の水準が現行水準よりも高くなる確率が約35%であることが織り込まれている。この確率は1カ月前は約25%だった。
<株式> 主要株価指数が反落して取引を終えた。予想を上回る米小売売上高を受け、金利がより長期にわたり高水準で推移するとの懸念が強まった。また、格付け会社フィッチ・レーティングスが一部の金融機関を格下げする可能性があるとの報道を受け、大手銀行株が値下がりした。
小売統計発表後も、市場が織り込む来月の利上げ休止確率は89%で変わらなかったが、金利が予想よりも長期にわたって現在の水準にとどまる可能性が懸念された。
これを受けて銀行株が売られた。
CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストボール氏は「リセッション(景気後退)に至らなくても、逆イールド(長短利回り逆転)は予想以上に長引くだろう」とし、融資が抑制されるとの見方を示した。
S&P総合500種は3月以降初めて50日移動平均線を下回って引けた。
フィッチによる一部米銀格下げの可能性に関する報道を受け、JPモルガン・チェースは2.5%、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は3.2%、ウェルズ・ファーゴは2.3%、それぞれ値下がりした。
中堅銀行のパックウェスト・バンコープ、ザイオンズ・バンコープ、ウェスタン・アライアンス・バンコープは3.7─4.5%安。連邦預金保険公社(FDIC)が14日、近く提案する新たな規制案により、大手地銀の「生前遺言(破綻処理計画)」が抜本的に手直しされることになるとの見通しを示したことが嫌気された。
S&P銀行株指数は2.75%下落し、1カ月ぶりの安値を付けた。KBW地方銀行株指数も3.4%値下がりした。
S&P主要11セクターは全て下落。原油価格の下落を受けてエネルギーが下げを主導した。
情報技術は比較的小幅な下げにとどまった。UBSとウェルズ・ファーゴによる目標株価引き上げを受けて半導体大手エヌビディアが0.4%上昇したことに支援された。
ゼネラル・モーターズ(GM)は2.3%下落。著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイがGM株の保有を縮小した。
バークシャーが新規投資を明らかにした住宅建設大手DRホートンは2.9%値上がりした。
一連の中国指標がさえなかったことから米市場に上場する中国企業の株価は下落。中国電子商取引大手アリババ・グループが2%安と下げを主導した。
<金先物> 7営業日続落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比8.80ドル(0.45%)安の1オンス=1935.20ドル。
<米原油先物> 中国のエネルギー需要減退懸念の強まりを受け、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月9月物の清算値(終値に相当)は、前日比1.52ドル(1.84%)安の1バレル=80.99ドル。10月物は1.42ドル安の80.50ドルだった。
中国国家統計局がこの日発表した7月の経済指標は軒並み悪化。米銀の信用不安の再燃も投資家心理を圧迫した。
ドル/円 NY終値 145.57/145.59
始値 145.53
高値 145.81
安値 145.11
ユーロ/ドル NY終値 1.0904/1.0906
始値 1.0932
高値 1.0952
安値 1.0898
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*23.00 4.3212%
前営業日終値 97*12.00 4.2810%
10年債(指標銘柄) 17時05分 97*07.00 4.2188%
前営業日終値 97*16.50 4.1820%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*28.25 4.3778%
前営業日終値 98*31.50 4.3550%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*19.63 4.9586%
前営業日終値 99*19.25 4.9650%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34946.39 -361.24 -1.02
前営業日終値 35307.63
ナスダック総合 13631.05 -157.28 -1.14
前営業日終値 13788.33
S&P総合500種 4437.86 -51.86 -1.16
前営業日終値 4489.72
COMEX金 12月限 1935.2 ‐8.8
前営業日終値 1944.0
COMEX銀 9月限 2265.6 ‐5.2
前営業日終値 2270.8
北海ブレント 10月限 84.89 ‐1.32
前営業日終値 86.21
米WTI先物 9月限 80.99 ‐1.52
前営業日終値 82.51
CRB商品指数 274.3040 ‐3.7930
前営業日終値 278.0970
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