- 2023/08/16 掲載
焦点:債券投資家が戦略修正、米国のリセッションシナリオが後退
米経済が軟着陸に向かうとの見方が過去数週間で強まっているため、一部の投資家はリスク資産を増やしたり国債などの安全資産を減らしたりしている。
トゥエンティーフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオ・マネージャー、フェリペ・ビラロエル氏は、米10年物国債から10年物の投資適格級米社債に資金を一部移していると明かした。
景気の底堅さに加えて、日銀のイールドカーブ・コントロール政策の修正や、フィッチによる米国債格下げで浮き彫りになった米債務の持続可能性を巡る問題、財務省が発表した大規模な資金調達計画なども債券投資家は織り込んでいる。
オークツリー・キャピタルはメモで「景気後退になってもならなくても、金利が長期的に上昇する可能性の方が短期的に低下する可能性よりもはるかに大きい」との見方を示した。
オークツリー・ダイバーシファイド・インカム・ファンドのマネジングディレクター兼共同ポートフォリオマネージャー、ダニエル・ポリ氏は、より長期的な金利上昇を視野に入れて投資先の変更を行ったと述べた。変動利付債への投資を増やしたが、借り手が金利上昇の影響を受けやすいレバレッジドファイナンス部門への投資にはより慎重になっていると説明した。
LGIMAで米債券投資戦略を担当するアンソニー・ウッドサイド氏は、米国の財政状況をめぐる長期的な懸念が30年債利回りを約20ベーシスポイント(bp)押し上げたと指摘。数週間前から利回り曲線のスティープ化を見込む戦略を取っているが、ボラティリティーが高いため比較的厳しいリスク制限を設けていると語った。
経済の軟着陸を巡る楽観論の高まりにはいくつかの注意点がある。インフレが再加速すれば市場が織り込んでいる水準以上に金利が上昇し、景気減速が加速する可能性が高まる。米連邦準備理事会(FRB)による利上げの影響が本格的に表れるまでの時間差が投資家を不安にさせる可能性もある。
一部の投資家は景気後退に備えて利回りの高い短期債と長期債を組み合わせることで不確実性に対処している。
トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズの債券担当マネジングディレクター、チップ・ヒューイー氏は「よりリスクオフの局面」に移行した場合に備えて、短期債を長期債でヘッジする「バーベルストラクチャー」を推奨していると語った。
(Davide Barbuscia記者)
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR