- 2023/08/21 掲載
就業体験もジョブ型で=ミスマッチ防止、選考に利用も―民間企業
大学3年生を中心とした2025年卒業予定学生のインターンシップ(就業体験)が本格化している。入社後のミスマッチを防ごうと、事業や職種を細かく選べる「ジョブ型」の就業体験を行う企業が目立つ。今年から5日以上の開催など一定条件を満たせば、就業体験で得た学生の情報を採用選考で利用できるようになり、企業は優秀な人材の囲い込みに懸命だ。
大手鉄鋼メーカーの日本製鉄は、7月下旬から就業体験を開始した。理系向けに約300の実習テーマを設定。製鉄所の見学や実験への立ち会いなどを2週間かけて実施する。辛島広祐採用課長は「鉄鋼業は実際の仕事がイメージしにくい。業務や社員と触れ合う機会を多くつくり、理解を深めやすいよう工夫している」と話す。参加した学生の情報は、来春以降の選考に活用する方針だ。
日立製作所は今年度、就業体験に前年度比約1.3倍の800人を受け入れる予定。社員との1対1の対話を通じて職務への理解度や適性を見極める戦略だ。昨年参加し、「内々定」を得ている照井雪乃さんは「一社員として職場に受け入れてもらい、学んだことを仕事に生かすイメージができた」と話す。三菱電機も約300の実習テーマを必要なスキルと共に提示した。
技術系以外の職種にもジョブ型就業体験は広がる。キリンホールディングスはマーケティング職の希望者向けに5日間の日程で実施。実務に近い体験を通じて「入社に向けた動機の形成や、他企業との差別化を図る」(人事担当)という。
マーケティング支援のベンチャー企業DearOne(ディアワン、東京)は同社初の1日就業体験を開催。採用選考とひも付けられる長期の実施は難しいというが、人手不足の中、事業への関心を持ってもらう狙いだ。
就職・採用支援サービス「doda(デューダ)キャンパス」の岡本信也編集長は、ジョブ型就業体験は「文系、理系の枠を超えて学生の適性を見極めやすい」と話す。一方、今年はコロナ禍が落ち着いて対面や長期間の開催が増えたことで「地方在住者が参加しにくい面もある」と指摘している。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本製鉄のインターンシップ(就業体験)で製鉄所を見学する学生(同社提供) 〔写真説明〕日立製作所のジョブ型インターンシップ(就業体験)に参加する女子学生(同社提供) 〔写真説明〕DearOne(東京)のインターンシップ(就業体験)で議論する学生(同社提供)
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