- 2025/06/08 掲載
日本原燃、核燃料再処理工場を公開=再三の完成延期、「来年度」実現なるか
日本原燃は8日までに、原発から出る使用済み核燃料の再処理工場(青森県六ケ所村)を報道陣に公開した。再処理工場の完成はこれまで再三、延期されてきた。同社は2026年度中の完成に「ある程度の確度を持っている」(広報担当者)と強調するが、当初の完成予定からは既に四半世紀以上が経過。電力会社は使用済み燃料を搬出できず、全国の原発敷地内にたまり続ける状況が続いている。
公開された建屋の一つには、縦27メートル、横11メートル、深さ12メートルのプールがあり、水底には再処理待ちの使用済み燃料が沈む。工場全体では3000トンの貯蔵能力があるが、既に約99%が埋まっている。
再処理工場は、使用済み燃料から再利用できるウランとプルトニウムを取り出すための施設。政府がエネルギー政策の基本的方針と位置付ける「核燃料サイクル」の中核を担うはずだった。1993年に着工し、当初は97年に完成予定だったが、延期は27回も繰り返されてきた。現在も原子力規制委員会の安全審査が長期化している状態だ。
関西電力は今年2月、再処理工場の26年度完成を踏まえ、使用済み燃料の搬出方針を見直した新たな工程表を、同社の原発が立地する福井県に提示した。杉本達治知事は3月、関電の森望社長と面談し、工程表を容認。この結果、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機(美浜町)、高浜原発1、2号機(高浜町)の計3基の運転継続が可能となった。
運転継続には、工程表通りの再処理工場完成が欠かせないが、再延期を懸念する声は多い。完成がさらに延期される事態となれば、国が推進する「核燃料サイクル」の実現どころか、足元の原発の稼働継続すら見通せなくなる。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本原燃の再処理工場=5月30日、青森県六ケ所村 〔写真説明〕日本原燃の再処理工場にある使用済み核燃料の貯蔵プール=5月30日、青森県六ケ所村
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