- 2025/06/09 掲載
ECB、トランプ関税による物価上昇に警戒を=専務理事
ECBは5日の理事会で、過去1年間では8回目となる利下げを決定し、経済成長率とインフレ率の見通しがより明確になるのを待つために、少なくとも7月の会合では金利を据え置くことを示唆した。
タカ派のシュナーベル氏は、直近のインフレ率がECB目標の2%を割り込んだことを「エネルギー(価格下落)によるところが非常に大きかったものの、より持続的な構成要素も下がってきており、これはとても、とても良い知らせだ」と歓迎した。
その上で、ECBはむしろトランプ氏が貿易相手国に仕掛けた世界的な貿易戦争などの新たな「ショック」に焦点を切り替えるべきだと強調。世界の卸売物価が1%上昇すれば、主要国の卸売物価は平均で0.2%上昇するとする学術調査を引用して「報復関税が実施されない場合でも、関税はインフレを引き起こす」と警告した。
シュナーベル氏は、中国がレアアースの輸出制限を決定したことを挙げ、複数の自動車メーカーが一部車種の生産停止に追い込まれていると述べた。
その上でシュナーベル氏は貿易摩擦があらゆる経済に影響を及ぼし、ECBと米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が乖離する範囲を限定することを示唆していると言及。「私はこの貿易摩擦が需要と供給の両方を低下させる世界的なショックとして作用すると予想している」とし、「インフレに対する2つの影響のうち、どちらが大きいかを議論することはできる。しかし、いずれにしても(ECBとFRBの間の)持続的なデカップリングは予想していない」と語った。
これに対し、同席したイングランド銀行(英中銀)のグリーン金融政策委員は、貿易での分断が英国のインフレ率低下に役立つはずであり、英中銀に「今後の金融政策の分かれ目となる機会」を与えると主張した。
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