- 2025/06/10 掲載
アングル:仮想通貨ファンドの運用資産額、5月に過去最高に
トランプ米大統領の輸入関税引き上げを契機とした貿易摩擦が緩和したことでリスク選好度が高まり、一部の投資家が市場の急激な変動のリスク回避や、米国での保有資産からの分散のために仮想通貨へ資金を振り向けたのが要因。
フィンテック企業、エーテル・ホールディングスのニコラス・リン最高経営責任者(CEO)は、仮想通貨ビットコインが「再び本領を発揮し始めている」と指摘。変動幅が大きい資産としてだけでなく、より多くの投資家がエクスポージャーをヘッジするために利用していると解説した。
ビットコインは最近の3カ月間に15%超も上昇し、伸び率はモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)の世界株指数の3.6%、金の13.3%を上回った。
デジタル資産運用会社コインシェアーズのデータによると、5月にビットコインのファンドは55億ドル、仮想通貨イーサリアムのファンドは8億9000万ドルのそれぞれ純流入があった。
コイン・ビューローの共同創設者でアナリストのニック・パックリン氏は、ビットコインが上昇した主因の一つは米国での投資への信頼の喪失だと指摘。「ドルが急落を続ける見通しで、国債利回りが上昇し、株式市場には不確実性がある。これに対し、ビットコインは堅調に推移しているようだ」と語った。
米国でビットコインのスポット価格に連動する上場投資信託(ETF)と、イーサリアム現物のETFが承認されたことを追い風に、ビットコインは昨年から機関投資家の資金流入が下支えしている。
一方、リッパーのデータによると、5月に世界の株式ファンドから59億ドルの純流出があり、金ファンドからは6億7800万ドルが流出して1年3カ月ぶりの純流出となった。
エーテルのリン氏は「(資金の)流れは堅調に推移すると思うが、ETFの開始後に見られたようなラッシュよりは安定していると思う」とした上で、「最初の(資金流入の)波はちょっとした解放弁だった。今起きていることはより重要で、仮想通貨が分散ポートフォリオに恒久的に定着し始めたということだ」との見方を示した。
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