- 2025/06/13 掲載
米共和党議員のFRB付利権限撤廃案、市場混乱招くとの見方
クルーズ議員は先週の米CNBCテレビで、FRBから付利の権限を奪えば政府は1兆ドルを節約できると主張した。
ブルームバーグは11日、クルーズ氏がトランプ大統領や他の共和党議員にもこの案を持ちかけたと報じた。クルーズ氏はブルームバーグに対して「(付利の)半分は外資系銀行に支払われており、道理に合わない」と述べた。
クルーズ氏はコメント要請に答えなかった。FRBはコメントを控えた。
上院金融委員会のティム・スコット委員長(共和党)はクルーズ氏の案について声明で「拙速に決めるべき問題ではない。慎重に検討し、オープンに議論すべきだ」とした。
市中銀行が預ける準備預金にFRBが金利を支払う権限は、2008年の世界金融危機時に議会が承認した。FRBは現在、準備預金に4.4%、リバースレポによって市場から吸収する資金に4.25%の金利を支払い、この2つの金融調節手段により政策金利のフェデラルファンド(FF)金利を目標水準に誘導している。
世界金融危機に続き、新型コロナ禍時の大規模緩和によって市場の流動性が巨大化したことで、付利は金融調節に欠かせない手段となった。一方で、付利は実質的な銀行への補助金に当たるとの懸念も長年くすぶっている。
また、付利によってFRBは24年に2年連続の支出超過(赤字)に陥っており、国庫に利益を納付できていない。
だが、専門家らはクルーズ氏の案は本来の目標を達成できず、金融市場に大混乱を引き起こすだけだと予想している。
バークレイズ・キャピタルのエコノミストチームは今月10日、付利の権限を奪えば資金はリバースレポに向かうだけだと指摘。つまりFRBは相変わらず金融機関に多額の金利を支払うことになり、財政赤字の穴埋めにはつながらないとの見解を示した。
JPモルガンのストラテジストチームは先週のノートで、クルーズ氏の案を実行すればFRBの金融調節能力が損なわれると予想した。
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