- 2025/07/30 掲載
EU格付け、米関税率上昇でも引き下げず=格付け会社
[ロンドン 29日 ロイター] - フィッチ・レーティングスなど複数の格付け会社は29日、米国が欧州連合(EU)に対する貿易関税率を大幅に上げても、EUの信用格付けをすぐには引き下げないと述べた。一方ムーディーズは輸出企業に影響が生じると警告した。
フィッチのソブリン信用格付け上級アナリストであるエド・パーカー氏は、米国がEUからの輸入品に課す基本関税率15%が、3月から想定していた水準と一致しており、経済見通しに実質的な修正を加えないと述べた。
欧州を拠点とする格付け会社スコープ・レーティングスやモーニングスターDBRSSも同様の見解を示している。スコープのソブリン信用格付け責任者のアルヴィーゼ・レンクユヌス氏は「経済的衝撃が蓄積している状況下で、今回の関税は発動された」と述べた。
ムーディーズは、米国へ製品を大量に輸出し、複雑なグローバルサプライチェーンに依存し、市場で価格決定力が限られる企業にとって、「信用に対する影響は重大になるだろう」と警告した。
こうした企業にはステランティスやフォルクスワーゲン などの自動車メーカーが含まれ、ムーディーズは最近いずれも格付けを引き下げた。
シーメンスやABBなどの欧州の大手製造業は、米国の売上高が全体の約25%を占める。ただ、米国内の調達率が80%以上と高く、現地調達・現地生産の戦略を採っているため、少なくとも関税引き上げの一部を顧客に転嫁できる可能性がある。
半導体や医薬品などの主要品目は依然として不確実性が残る。アナリストは医薬品分野について、EUの輸出全体に占める対米輸出の比率が約25%を占めると見積もっている。
航空機部品の関税免除は、エアバスやMTUエアロエンジンズに対する関税関連の圧力を和らげると見込まれ、ムーディーズは「航空宇宙・防衛分野を巡る前向きな見通しが強まる」と述べた。
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