- 2025/09/11 掲載
NY市場サマリー(10日)S&P・ナスダック連日最高値、ドルまちまち、利回り低下
8月の米卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%下落し、予想外のマイナスとなった。前年比では2.6%上昇と、伸びは前月から鈍化し、予想を下回った。
終盤の取引で、ドル/円は小幅安の147.31円。
ユーロ/ドルは横ばいの1.1706ドル。
指標発表前、ドルは対円、ユーロでともに上昇していた。
<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが低下した。8月の卸売物価指数が前月比で予想外のマイナスとなったことを受け、連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げを再開するとの観測が改めて裏付けられた。10年債入札が順調にこなされたことも利回り低下につながった。
労働省が発表した8月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.1%下落し、予想外のマイナスとなった。前年比では2.6%上昇と、伸びは前月から鈍化し、予想を下回った。
アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)の債券部門マネジング・ディレクター、キム・ルパート氏は、パウエルFRB議長が8月のジャクソンホール会合で近く利下げに動く可能性を示唆したことに言及し、「パウエル氏の発言を受け利下げ自体は疑問視されていなかった」と指摘。8月のPPIを受け「焦点は利下げ幅に移った」と述べた。
先物市場では、FRBが16─17日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利下げを決定するとほぼ確実視されている。利下げが決定されれば昨年12月以来。利下げ幅が0.50%ポイントになる確率は7%織り込まれている。
財務省が実施した10年債入札は最高落札利回りが4.033%、応札倍率が2.65倍。応札倍率は4月以来最高だった。海外投資家や各国の中央銀行を含む間接入札者の落札比率は83.13%。DRWトレーディング(シカゴ)のストラテジスト、ルー・ブライエン氏によると、過去2番目の高水準だった。
<株式> 米国株式市場で、S&P総合500種とナスダック総合が続伸し、連日で終値での最高値を更新した。IT大手オラクルが急伸し、相場を支えたほか、想定以上のインフレ減速を示唆する米卸売物価指数(PPI)を受け、連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利下げを行うという観測が強まった。
オラクルは36%高で、1日としては1992年以来最大の上昇率を記録。前日発表した決算で、人工知能(AI)企業からのクラウドサービス需要が急増していることが示された。
オラクルの時価総額は9220億ドルに達し、JPモルガン・チェースやウォルマートなどを抜いてテスラの1兆1200億ドルに迫った。
AI関連半導体株も買われ、エヌビディアは3.8%、ブロードコムは10%、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は2.4%、それぞれ上昇。フィラデルフィア半導体指数は2.4%高で過去最高値を更新した。
データセンター向け電力供給業者も恩恵を受け、コンステレーション・エナジー、ビストラ、GEベルノバがいずれも6%超上昇した。
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米利下げ期待を背景とした買いが入る一方、利益確定の売りも出やすく、ほぼ横ばいとなった。
米労働省が10日の朝方に発表した8月の卸売物価指数(PPI)は前月比0.1%低下と、市場予想(ロイター調査)の0.3%上昇に反して低下した。エネルギーと食 料品を除いたコア指数も前月比0.1%低下と、予想(0.3%上昇=同)を下回った。 インフレの落ち着きを示す指標を受け、米連邦準備理事会(FRB)が来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ再開に動くとの観測が再確認され、米長期金利が低下。 利子の付かない資産である金の投資妙味が強まり、金相場を支えた。
ただ、金塊相場は前日、取引時間中に3700ドルの節目を超える場面があったほか、 清算値ベースの最高値を更新。高値警戒感が高まる中、利益確定の売りに押され、小幅安で取引を終えた。翌11日に発表される米消費者物価指数(CPI)を控えて様子見ムー ドも広がった。
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、地政学リスクの高まりを背景に買われ、3営業日続伸した。
ポーランド軍は10日、ウクライナを狙ったとみられるロシアの複数のドローンが領空侵攻し、一部を撃墜したと発表した。ドローンは9日夜から10日未明にかけて飛来し、 ポーランドのトゥスク首相によると19機がポーランド領空に侵入。最大4機を撃墜した という。北大西洋条約機構(NATO)の領空内でロシアのドローンが撃墜されるのは初 めて。また、イスラエル軍は9日、カタールの首都ドーハでイスラム組織ハマスの指導部 を狙った精密攻撃を実施した。これを受け、中東情勢の緊迫化を背景に供給不安が強まり、朝方から原油が買われた。
英紙ファイナンシャル・タイムズ(電子版)は9日、トランプ米大統領が欧州連合(E U)に対し、ロシア産原油を購入している中国とインドに100%の関税を課すように要請したと報じた。米政権が対ロ制裁の強化に踏み切れば、ロシア産原油の供給懸念につながるとの警戒感は根強く、相場は終日プラス圏を堅調に推移した。
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR