- 2025/09/16 掲載
株式と債券の相関性低下、政府債務増大懸念高まる=BIS報告書
[ロンドン 15日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は15日公表した報告書で、世界的に株価が最高値を更新する一方、債券市場では政府債務増大への懸念が高まっており、株式と債券の相関性低下が進んでいるようだと警鐘を鳴らした。
BISは、今年になって先進諸国の30年国債を投資家が購入する際に求めるプレミアムが上昇し、財政の先行きに関する「不安の高まり」を物語っていると指摘した。
米国は今年、ムーディーズの格下げによって大手3社全ての格付けが最上位の「トリプルA」ではなくなり、フランスの格付けは12日にフィッチによって過去最低水準に引き下げられた。
BISのヒュン・ソン・シン金融経済部長は「今はストレスを拡散の経路が増幅する可能性について注視すべき時期だ」と主張し、バリュエーションが高止まりしているリスク資産は脆弱な状況に置かれていると付け加えた。
またシン氏は、政府債がヘッジファンドなどレバレッジ比率の高い投資家に買われる傾向が強まり続けている点にも言及し、市場が教科書的な定義で持続可能とされる債務水準よりもずっと手前で崩壊しかねないと訴えた。
報告書にはBISが新たにまとめた国際的なインフレ期待調査結果が初めて掲載され、コロナ禍後の世界的な物価高騰が家計のインフレ期待を根本的に押し上げた構図が浮き彫りになった。調査対象は13の先進国と18の新興国。特にコロナ禍後の物価上昇が大きかった国で、インフレ期待の高まりが見られた。
BISは、一時的な物価上昇の持続的な影響を巡る懸念を高める内容だと述べつつ、家計は総じて中央銀行の金融政策に責任があるとはみなしておらず、政府からの中銀の独立性を支持していると説明した。
シン氏は、実体経済、とりわけ米国の労働市場で減速が起きていると分析し、この流れが続くようなら、株価水準がITバブル期に近づき、社債の利回りスプレッドが非常に縮小しているだけに、市場の反応を「非常に注意深く」見守っていく必要があるとの見方を示した。
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