- 2025/09/18 掲載
携帯各社、じわり値上げ=「官製値下げ」から局面変化
携帯各社が、料金プランについてじわりと値上げに動き始めた。政府主導で2020年から始まった「官製値下げ」以来、価格引き下げ競争が続いたが、人件費などのコスト増で局面は変化しつつある。各社は値上げによる顧客離れを防ぐため、通信品質の向上や付帯サービスをアピールし、理解を得ようと懸命だ。
KDDIは今年8月から主力ブランド「au」の既存プランを最大で月330円引き上げた。一方で、米スペースXの衛星通信網「スターリンク」とスマートフォンの直接通信サービスを拡充し、山間部など圏外でもつながる通信品質の高さを訴える。
NTTドコモは6月から、スポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」が見放題になる高価格プランを新たに導入。楽天モバイルも10月から動画配信サービス「U―NEXT(ユーネクスト)」とのセットプランを提供する。いずれも別々に契約するより安く、お得感を打ち出している。
ソフトバンクは今月下旬から、格安ブランドの「ワイモバイル」で最大693円高い新プランを投入。グループ企業が手掛ける「PayPay(ペイペイ)カード」の利用で料金を割り引くなど、「経済圏」での囲い込みも狙う。ソフトバンク幹部は「セキュリティー対策などのコストが増えている」と打ち明ける。
調査会社MM総研(東京)が7月に実施した調査によると、携帯の月額利用料金は平均4117円。21年7月調査の4845円に比べ約15%減っている。ただ、担当者は「各社は今後値下げ競争から脱却し、料金は上昇傾向に向かう」と予想。値上げは家計には負担だが、「設備投資などに回せる資金が増え、長い目で見ると利用者にも(品質面などの)メリットはある」と指摘している。
【時事通信社】 〔写真説明〕KDDIは衛星通信網「スターリンク」とスマートフォンの直接通信サービスを開始=4月10日、東京都千代田区 〔写真説明〕楽天モバイルは「U-NEXT」とのセットプランの提供を発表=6月23日、東京都渋谷区
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