- 2025/09/24 掲載
カナダ中銀総裁、FRBへのトランプ氏圧力に懸念 「金融市場に影響出始めた」
[オタワ 23日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁は23日の講演で、トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)に政治圧力をかけ、金融政策の独立性を脅かしている状況に懸念を表明した。
マックレム氏は、トランプ氏のFRBに対する影響力行使の試みや貿易戦争と、それに伴って発生している世界的な不確実性によって、ドルが打撃を受けていると指摘。「今の問題は米国が(国際自由)貿易から手を引き、巨額の財政赤字を抱える中で、世界の金融取引で支配力を後退させることになるかどうかだ。最近のドルの値動きは何事かを物語っているのではないか」と語った。
またマックレム氏は、トランプ氏が4月に「相互関税」を発表して以来ドルが約10%下落して魅力を失いつつあると言及し、安全資産としてのドルの価値に疑念が生じていると付け加えた。
その後記者団からなぜこのタイミングでトランプ氏とFRBの問題に触れたのか質問されると「金融市場に影響が出始めているからだ。幾つかの影響が目にされつつあり、今こそ話題にする局面だと強く思う」と答えた。
さらにマックレム氏は、FRBのパウエル議長が非常に厳しい環境下で大変うまく任務を遂行していると評価しつつ、FRBは政治圧力から自由であり続ける必要があると改めて訴えた。
マックレム氏は「独立的な金融政策運営をしてきた中央銀行は、物価安定の面でより素晴らしい実績を残してきた」と強調した。
一方マックレム氏は、トランプ氏の関税措置による対米貿易摩擦でカナダ経済の労働生産性は低下し、コストが増大するとともに、所得は縮小していくと警告。金融政策では関税コストを相殺できないし、悪影響を和らげることはできないと述べ、政府や財界が構造改革を進めるべきだとの見解を示した。
最新ニュースのおすすめコンテンツ
PR
PR
PR