- 2025/09/24 掲載
エヌビディアとオープンAIの戦略提携、反トラスト法上で問題も
[23日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアが22日、対話型の生成人工知能(AI)「チャットGPT」を開発した米新興企業オープンAIに最大1000億ドルを投資すると発表した戦略提携は、反トラスト法(独占禁止法)上の大きな問題になりそうだ、と複数の専門家が指摘している。
トランプ政権は規制緩和を推進し、AIの成長に向けたインセンティブを提供することを最優先方針としているものの、司法省高官が先週、反トラスト法の運用を通じてAIの競争環境を守ることでイノベーションを促進するのもトランプ政権のAI政策の一環だと発言した。
司法省の反トラスト部門を統括するゲール・スレーター氏は18日、反トラスト法運用について「競争力のあるAIシステムや製品を構築するために必要な資源に対する排他的行為を防ぐことに重点を置くべきだ」と説明した。
その上で「各層における競争力学と、それらがどのように相互に関連しているか、特に重要な資源や流通チャンネルへのアクセスを排除するような行動に注目することは、反トラスト法調査の正当な分野になる」と述べた。
こうした中でドイル・バーロー・アンド・マザードの反トラスト法弁護士、アンドレ・バーロー氏は、エヌビディアとオープンAIの案件は反トラスト法を巡る重大な懸念を生み出していると言及。「問題は当局がこの投資をAIの成長にプラスと考えるか、成長を鈍化させるとみなすかだ」と述べた。
エヌビディアは、AIモデルや関連アプリを稼働させるデータセンターで使用される画像処理装置(GPU)市場の50%超を握っている。
バンダービルト法科大学院のレベッカ・ホー・アレンスワース教授は、このような優越的地位により、エヌビディアが製品供給における価格や納期などでオープンAIを他の顧客より優遇するのではないかとの心配が生じるとの見方を示した。
アレンワース氏は「エヌビディアとオープンAIは互いの成功につながる金銭的利益を共有しており、それはエヌビディアがオープンAIのライバルに製品を売らない、あるいは同じ条件で供給しないという動機になる」と強調する。
コーネル大学テック政策研究所のサラ・クレプス所長は、今回のエヌビディアとオープンAIの提携で最先端AI開発費用がいかに大きいかが示され、今後業界はそうした規模のプロジェクトを賄える資金力を持つ一握りの企業に集約されるだろうと予想した。
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