- 2025/11/06 掲載
トヨタ、北米好調も課題多く=半導体調達、関税の価格転嫁も
トヨタ自動車の9月中間連結決算では、北米での販売が好調を維持し、売上高に当たる営業収益は中間決算としては5期連続で過去最高を更新した。ただ、トランプ米政権の高関税などの逆風は依然強く、営業利益は前年同期比で2割近く減少。半導体調達を巡る混乱も懸念されるなど、先行きの課題は少なくない。
「商品力を背景にした強い需要に支えられた」。5日に東京都内で開いた決算説明会で、近健太最高財務責任者は販売台数の増加に胸を張った。
北米では7月に小幅値上げをしたものの、ハイブリッド車の需要が強く、販売台数が前年同期の水準を上回った。国内でも、販売を減らすメーカーがある中でプラスを維持。さらに、販売後の点検や修理などのアフターサービスを充実させる取り組みも収益底上げにつながった。
だが、それでも営業利益や純利益が減益となったのはトランプ関税の影響が大きい。米関税で押し下げられた営業利益は9月中間で9000億円。通期では1兆4500億円に膨らむ見込みで、8月時点の想定から500億円上振れした。
米国では関税の価格転嫁も焦点となる。近氏は「市場に反する形ではなく、市場や競合他社の状況を踏まえて対応している」と慎重に行う考えを示す。業界では「米景気が悪化すれば価格転嫁できなくなる」(大手幹部)として値上げを急ぐべきだとする声がある一方、急な値上げは顧客離れを招く恐れもあり、難しい判断を迫られそうだ。
オランダの中国系半導体メーカー、ネクスペリアの製品供給が滞っている問題も不安材料だ。同社の半導体は「代替品の確保は可能」(アナリスト)とみられているが、半導体の調達契約は長期間にわたるケースが多いとされ、「調達先の変更には時間がかかる恐れがある」(業界関係者)と警戒感が広がる。
【時事通信社】
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