• 2025/12/19 掲載

日銀が利上げ決定、政策金利は30年ぶり高水準に 賃上げ継続を確認

ロイター

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Takahiko Wada Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama

[東京 19日 ロイター] - 日銀は18、19日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.75%に引き上げることを全員一致で決めた。利上げは1月以来。政策金利は1995年9月以来、30年ぶりの高水準となった。企業への聞き取りなどを踏まえ、賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高いと判断、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度は高まっているとした。

日銀は現在の実質金利は「極めて低い水準にある」とし、経済・物価見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を示した。

米国経済の下振れリスクが後退し、日銀が描く経済・物価見通しが実現する確度が高まる中、植田和男総裁が1日の名古屋での講演で、春闘に向けた「初動のモメンタム」などを確認した上で、利上げの是非を「適切に判断したい」と述べたことで、市場で12月会合での利上げ決定の可能性が急速に織り込まれていた。

来年の春季労使交渉(春闘)に向けた企業の賃上げ姿勢について、労使の対応方針や日銀の本支店を通じたヒアリング情報などを踏まえると「来年は、今年に続きしっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低い」とした。また、米国経済や各国の通商政策の影響を巡る不確実性は「引き続き残っているものの、低下している」とした。賃金上昇の販売価格への転嫁が続くもとで、消費者物価の基調的な上昇率は「緩やかな上昇が続いている」と指摘した。

日銀は政策金利の引き上げ後も「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりとサポートしていく」と指摘した。

日銀は基調的な物価上昇率について、2027年度を最終年度とする「展望リポートの見通し期間後半」には2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見通しを改めて示した。

ただ、この記述には高田創審議委員、田村直樹審議委員が反対した。高田委員は、基調的な物価上昇率を含め、消費者物価は「すでにおおむね物価目標に達する水準にある」と主張。田村委員は、基調的な物価上昇率は見通し期間の「半ば以降」に物価目標とおおむね整合的な水準で推移すると主張した。

日銀はこのほか、リスク要因として、各国の通商政策の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定行動、金融・為替市場の動向を挙げ、これらの経済・物価への影響を十分注視する必要があるとした。

なお、声明文では中立金利の推計への言及はなかった。

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