- 2026/04/11 掲載
続くナフサ混乱、値上げや目詰まり=食品包装や塗料、ごみ袋など裾野広く
中東情勢の悪化で、石油製品「ナフサ」を巡る供給混乱が続いている。ガソリンなどと同様、原油から精製されるナフサは、エチレンやプロピレンといった基礎化学品に分解され、そこから食品トレーやごみ袋、衣類、塗料など生活必需品の原料が作られる。現在、ナフサ由来製品の値上げが相次いでいるほか、一部で供給の目詰まりも発生。産業や家計への広範な影響が懸念されている。
ナフサは、原油を沸点の違いを利用して蒸留し、ガソリンや軽油、重油などとともに生み出される。さらに800度以上に熱して基礎化学品に分解。化学反応によってプラスチックや化学繊維、ゴム、塗料・接着剤の原料へと姿を変える。
日本はナフサの約4割を中東から輸入。約4割の国内精製分も、その元となるのは中東に輸入を依存する原油だ。このため中東情勢の悪化で、ホルムズ海峡が事実上封鎖されると供給不安が一気に高まった。政府は「日本全体として必要な量は確保されている」と強調するが、複雑な供給網の一部で目詰まりも起きている。
高市早苗首相は10日の中東情勢に関する関係閣僚会議で「まだまだ行き届いていないケースが見受けられる」と述べ、特に塗料用シンナーの供給不安への対応を指示した。シンナーは自動車パーツの塗装や住宅の防水処理などに使用。メーカーに出荷制限の動きが出始めているほか、高額転売の事例も確認された。
3月中旬以降、ナフサ由来製品の値上げも相次ぎ発表。日本サニパック(東京)は、5月下旬からごみ袋などの価格を約3割引き上げ、「追加的な価格見直しを検討する可能性がある」と説明。食品の包装フィルムを製造するグンゼや衣類用のポリエステル繊維を手掛ける帝人も値上げに踏み切った。
クラレは、ランドセルなどに使われる人工皮革「クラリーノ」を1割値上げ。「コスト上昇は自助努力による吸収範囲を超える状況」と訴えた。
米国とイランは2週間の停戦で合意したが、供給の正常化は不透明で、仮に供給量が回復したとしても価格の高止まりが懸念される。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、ナフサ由来製品の値上げで、4人家族の家計の年間負担額は2万2500~3万5100円増えると試算。「消費者物価は一時的に1%弱上昇する見通しだ」と指摘した。
【時事通信社】 〔写真説明〕食品トレーなどの原料もナフサから作られる(資料写真)
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