- 2026/04/24 掲載
焦点:欧州の屋根置き型太陽光発電、中東紛争で需要再燃
[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州全域で2月末の中東紛争開始以降、屋根置き型太陽光発電システムの需要が急増している。史上最悪とされる世界的なエネルギー供給の混乱が引き起こした電気料金の急騰から身を守ろうとする世帯が導入を急いでいるためだ。
この紛争は原油、天然ガス、電気の価格を急激に押し上げ、企業と家庭に等しく打撃を与えている。そのために企業や各家庭が、より安価な代替手段を見つけ、価格変動の激しいエネルギーへの依存を減らす動きを加速させている。
太陽光発電はこうした選択肢の一つだ。ドイツ、英国、オランダのエネルギー機器卸売業者や再生可能エネルギー関連企業10社余りに対するインタビューによると、一部の業者で住宅所有者からの需要が2月末以降、2倍以上に跳ね上がったという。
太陽光発電は欧州の総発電能力の約3分の1を占めながらも新規設置のペースが昨年にこの約10年間で初めて鈍化しただけに、紛争に伴うそうした事情が絶好のタイミングで追い風となっている。業界の支持者たちは欧州が輸入する原油や天然ガスに対する依存を断ち切るためにまだなすべきことがかなりあると主張している。
<強靭性の問題>
ドイツの太陽光機器卸売業者ソーラーハンデル24は3月の純売上高が前年同月比で3倍以上の約7000万ユーロ(約8200万ドル)になったと発表した。4月も前年比3倍の最大6000万ユーロに達する見込みだ。
ドイツの再生可能エネルギー企業エンパルも同様の傾向を示している。3月の受注額は前年同月比30%増の1億3000万ユーロに達し、4月も屋根置き型太陽光発電システムの設置がけん引して33%増の約1億2000万ユーロとなる見込みだ。
エンパルの創設者兼最高経営責任者(CEO)のマリオ・コーレ氏は「これは欧州の強靭性の問題だ。防衛部門でも同じ傾向が見られる。欧州が自らを防衛しなければならないのと同様に、われわれはエネルギーを自給できなければならない」と述べた。
屋根置き型太陽光システムの設置に関する欧州全体の集計データはまだ公表されていないが、ドイツとオランダの業界団体は紛争開始以来、需要が回復していると認めている。
業界幹部らによると、住宅所有者は中国製が約90%を占める太陽光パネルと、蓄電池や電気自動車(EV)向けの家庭用充電器を組み合わせたフルシステムの導入を選ぶケースが増え続けている。フルシステムによって余剰電力を蓄え、その後に利用できるようになる。
そうした傾向はエネルギー貯蔵技術に対する需要もまた押し上げており、オランダのホランド・ソーラーのワインナンド・ファンホフ氏によると、需要が40―50%増加しているという。
欧州最大のエネルギー送配電事業者で屋根置き型太陽光発電システムも販売しているイーオンのフィリップ・トーン氏は「この状況を単なる季節的な要因で説明できない」と語った。顧客の問い合わせが前年同期比でほぼ2倍に増えているという。
<構造的な転換か>
一部の企業幹部はまたやがて改正されるドイツの再生可能エネルギー法も屋根置き型太陽光発電システムの設置に対する需要を押し上げる追加的な要因だと指摘する。平均的な一戸建て住宅の場合、システムの設置は通常1万―2万ユーロかかる。
業界団体「ソーラーパワー・ヨーロッパ」によると、欧州の太陽光発電システムの新規設置ペースは25年、主に各国の補助金制度の段階的な廃止で住宅向け需要が弱まったために鈍化したが、今回の紛争をきっかけに需要が急増したという。
英電力エネルギー小売り大手オーボ・エナジーの太陽光・暖房部門責任者のエド・ジャンブリン氏は「現在の地政学的な出来事が構造的な転換を作り出したのではなく、加速させているため需要が急増しているのだと考えている」と述べた。
しかしながら、中国の太陽光パネルメーカー各社は世界的に需要が拡大しても、業界の過剰生産問題を大幅に解消する可能性が低いだろうと話す。中国だけで今年見込まれる世界全体の需要のほぼ2倍を賄えるだけ十分な生産能力を保有しているからだ。
それでも、ドイツの再生可能エネルギー企業、1KOMMA5°(ワンコンマファイブ)の共同創設者ヤニク・シャル氏は需要急増について、再生可能エネルギーの価値が地政学的なショックによってどれくらい迅速に再評価を受けられるのかをよく示していると述べた。シャル氏は太陽光発電システムに対する需要が22年のエネルギー危機の際にさらに強烈だったと指摘した上で「繰り返されるエネルギー危機は再生可能エネルギーが正しいと証明している」と語った。
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