- 2020/12/09 掲載
NY市場サマリー(8日)S&P500とナスダック最高値、ドル売り一服
ドル指数は0.1%高の90.95。ドルは年初以降約6%下落しており、2017年以来の大幅な値下がりとなる見通し。
メルク・インベストメンツのアレックス・メルク社長兼最高投資責任者は「進行中の金融・財政刺激策が世界を再び押し上げ、ドル安につながっている。リスク資産や新興国通貨にはプラス材料だ」と指摘した。
この日は米製薬ファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンを巡る明るいニュースを追い風にリスク選好度が上昇したものの、ドルは持ちこたえた。
ユーロ/ドルは、堅調なドイツZEW景気期待指数を手掛かりに一時上昇したものの、終盤にかけて横ばいから小幅安の1.2104ドル。
12月の独ZEW景気期待指数は55.0と、前月の39.0から上昇。コロナウイルスワクチン開発で経済の見通しが改善するとの見方が強まった。
ユーロ/ドルは年初来で約8%上昇。HSBCの欧州為替リサーチ主任ドミニク・バニング氏はリサーチノートで、ユーロ高はデフレ圧力にさらされているユーロ圏経済に著しい悪材料だとし、欧州中央銀行(ECB)の取り組みを困難にするとの見方を示した。
ECBは10日に理事会を開く。
英国のEU離脱移行期間終了が約3週間後に迫る中、双方の自由貿易協定(FTA)交渉は8日も打開が見られず、英国のジョンソン首相は双方が「合意なき」離脱を受け入れざるを得ないとの見方を示した。
ポンド/ドルは0.2%安の1.3354ドル。しかし、英政府がアイルランドと英領北アイルランドの国境管理についてEUと合意したとのニュースが伝わり、ポンドは一時プラス圏に浮上する場面もあった。ポンドは対ユーロでも0.1%下落し、90.63ペンス。
ドル/円は0.1%高の104.16円。一方、ドル/スイスフランは0.2%安の0.8893フラン。
<債券> 長期債利回りが低下。新型コロナウイルスワクチンの普及ペースが焦点となった。
10年債利回りは1.3ベーシスポイント(bp)低下し0.9146%。一時0.893%と0.9%を割り込む場面も見られた。
ケンブリッジ・トラストの債券部ディレクター、エリック・ジュソーム氏は、経済の再開や回復の決め手となるワクチンがどのように普及するかに投資家は注視していると指摘。「(それが判明するまで)熱狂はしばらくお預けになる可能性がある」と述べた。
英国では8日、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナワクチンの接種が始まった。こうした中、トランプ大統領は、国内で生産されたコロナワクチンが確実にまず米国民への接種に利用されるよう、必要に応じて国防生産法(DPA)を発動させると表明した。
3年債入札(560億ドル)は最高利回りが0.211%。BMOキャピタル・マーケッツは、平均的な結果だったと指摘した。
2年債と10年債の利回り格差は76bpと、前日から約2bp縮小した。2年債利回りは約1bp上昇し0.1508%。
<株式> 米国株式市場は上昇して取引を終了。S&P総合500種とナスダック総合は最高値を更新した。新型コロナウイルスワクチンを巡るポジティブなニュースを受け、ヘルスケア関連株が買われた。ただ、追加経済対策を巡る不透明感から上値は抑制された。
医薬品・日用品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は8日、開発中の新型コロナワクチンの後期臨床試験(治験)結果が予想より早い来年1月に出そろう可能性があると発表。株価は1.73%上昇し、ダウ工業株30種とS&P500を押し上げた。
製薬大手ファイザーも3.18%高。同社と独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチンの有効性と安全性に関する治験データについて、米食品医薬品局(FDA)が緊急使用承認に向けた基準を満たす内容だったとするスタッフ報告書を公表した。
ただ、ワクチンへの期待が高まる一方で、新型コロナの感染者は急増し続けており、新たな感染抑制策が導入される中、追加経済対策の行方も注目されている。
共和党上院トップのマコネル院内総務はこの日、議会が合意できる措置を含む救済法案を承認すべきだとし、意見が割れている企業の賠償免責や州・地方自治体への支援金は盛り込まない考えを示した。
米連邦政府のつなぎ予算が11日で切れるのを前に、議会は政府閉鎖の回避や経済対策を巡る合意を目指し、1週間の予算延長について週内に採決する。
航空機大手ボーイングは0.67%安。2度の墜落事故を受けた運航停止が最近解除された主力旅客機「737MAX」のさえない受注状況が嫌気された。
序盤にマイナス圏で推移していた電気自動車(EV)大手テスラは50億ドルの増資を発表した後、プラスに転じ、1.27%高で終了。ここ3カ月で2度目の増資となる。
バイオ医薬品大手モデルナは6.51%急伸。スイスが同社の新型コロナワクチンの発注を450万回分から750万回分に増やしたことが好感された。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.85対1の比率で上回った。ナスダックでは1.80対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は104億1000万株。直近20営業日の平均は114億8000万株。
<金先物> 米追加経済対策の実現期待などを背景に買われ、続伸した。
中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比8.90ドル(0.48%)高の1オンス=1874.90ドル。
米国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、追加経済対策法案成立への期待が広がっている。大規模な財政出動による物価上昇への思惑が浮上。インフレヘッジとしての金買いが優勢となった。また、外国為替市場ではドル安基調が継続し、ドル建てで取引される金塊に割安感が生じていることも、相場の支援材料だった。
金塊現物相場は午後1時半現在、9.000ドル高の1870.845ドル。
<米原油先物> 米国の新型コロナウイルス感染再拡大を警戒した売りに押され小幅続落した。
米国産標準 油種WTの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比0.16ドル(0.35%)安の1バレル=45.60ドル。2月物は0.15ドル安の45.80ドルとなった。
新型コロナ感染者の急増に歯止めがかからない中、西部カリフォルニア州では6日以降、人口の8割以上が自宅待機命令の対象となった。東部ニューヨーク州のクオモ知事は7日、5日以内に入院患者数が安定しなければ、飲食店の店内飲食を再び禁止するとの方針を示した上で、都市封鎖の可否を判断する基準も発表。こうした制限強化の動きでエネルギー需要の減退懸念が再燃し、原油売りが活発化。相場は午前中、一時45ドル割れに迫る水準まで下押しされた。
この日は、英国でワクチン接種が始まるなど、新型コロナワクチンをめぐる明るい材料を手掛かりに米株価がプラスに反転。株式と並んでリスク資産とされる原油も買い戻される場面もあったが、足元のコロナ感染再拡大への警戒感は根強く、上値は重かった。
ドル/円 NY終値 104.15/104.18
始値 104.10
高値 104.20
安値 104.03
ユーロ/ドル NY終値 1.2101/1.2105
始値 1.2106
高値 1.2133
安値 1.2101
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*00.50 1.6669%
前営業日終値 98*17.00 1.6880%
10年債(指標銘柄) 17時00分 99*18.00 0.9212%
前営業日終値 99*16.00 0.9280%
5年債(指標銘柄) 16時59分 99*29.00 0.3940%
前営業日終値 99*29.75 0.3890%
2年債(指標銘柄) 17時01分 99*30.38 0.1508%
前営業日終値 99*30.88 0.1430%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30173.88 +104.09 +0.35
前営業日終値 30069.79
ナスダック総合 12582.77 +62.83 +0.50
前営業日終値 12519.95
S&P総合500種 3702.25 +10.29 +0.28
前営業日終値 3691.96
COMEX金 2月限 1874.9 +8.9
前営業日終値 1866.0
COMEX銀 3月限 2473.6 ‐5.8
前営業日終値 2479.4
北海ブレント 2月限 48.84 +0.05
前営業日終値 48.79
米WTI先物 1月限 45.60 ‐0.16
前営業日終値 45.76
CRB商品指数 158.2821 ‐0.6685
前営業日終値 158.9506
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