- 2020/12/10 掲載
NY市場サマリー(9日)ドル指数4日続伸、米株反落
ドルは通貨バスケットに対し0.1%高の91.027。先週末には90.47と2018年4月以来の安値を付けていた。
ドルは円やスイスフランに対しても上昇した。
エクスチェンジ・バンク・オブ・カナダ(トロント)のFX戦略部長、エリック・ブレガー氏は「ナスダック総合株価指数が2%近い下げとなったことでドルが買われた。S&P総合500種指数を見ると、弱気のアウトサイドデイ(包み足)を示しており、一段安とならないか不安だ」と述べた。
ユーロ/ドルは0.2%安の1.2080ドル。ただ年初来では8%近く値上がりしており、17年以来の大幅な伸びとなっている。
欧州中央銀行(ECB)は10日の理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の拡大を決定する見込みだ。
豪ドルや人民元は上昇し、一時2年半ぶりの高値を付けた。人民元は6.5198元と18年6月以来の高値。5月の安値からは10%超値上がりしている。
ポンド/ドルは0.3%高の1.3399ドル。英国と欧州連合(EU)の通商交渉で、ジョンソン首相とフォンデアライエン欧州委員長はこの日、ブリュッセルで協議を開始した。
<債券> 米金融・債券市場では、長期債利回りが上昇した。米追加刺激策への期待や新型コロナウイルスワクチンが経済回復に拍車をかけるとの見方が支援した。
午後の取引で、指標10年債利回りは1.5ベーシスポイント(bp)上昇の0.9278%。一時0.959%まで上昇する場面があったが、主要株価指数の下げを受け伸び悩んだ。
キャンター・フィッツジェラルドの米国債アナリスト、ジャスティン・レデラー氏はきょうの動きについて、新型コロナワクチンがパンデミック(世界的大流行)を抑制するとの期待感や米議会が新型コロナ追加対策を可決するとの見方を反映したと述べた。
共和党上院トップのマコネル院内総務はこの日、記者団に対し、議員らが引き続き「合意に向けた道筋を模索している」と明らかにした。
レデラー氏は、米ジョージア州で来年1月5日に行われる上院選の決選投票まで政策の方向性は出てこないかもしれないが、それを示唆する強いシグナルを市場は待っているようだと指摘。「足元はレンジ取引になっている」とした。
米食品医薬品局(FDA)が8日、米ファイザーが独ビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスワクチンの有効性と安全性に関する臨床試験(治験)データが、緊急使用承認に向けた基準を満たす内容だったとするスタッフ報告書を公表。これを受け、米株市場は取引序盤に最高値を更新したが、その後下げに転じた。
米財務省がこの日実施した380億ドルの10年債入札は応札倍率が2.33倍と平均を下回り、「やや軟調だった」(DRWトレーディングの市場ストラテジスト、ルー・ブライエン氏)という。
プライマリーディーラーの落札比率は23%。BMOキャピタル・マーケッツによると同比率の平均は26.4%で、これを下回った。
2年債と10年債の金利差は約2bp拡大し78bp。
2年債利回りは0.1508%と横ばいだった。
<株式> 米国株式市場は最高値から押し戻され、反落して取引を終えた。新型コロナウイルス追加経済対策をめぐる協議の不透明感や、フェイスブック株の下げに圧迫された。
米下院は9日、同対策を討議する時間を確保するため、連邦政府のつなぎ予算の1週間延長について採決を実施する。共和党上院トップのマコネル院内総務は、議員らが引き続き「(経済対策の)合意に向けた道筋を模索している」と明らかにした。
ナショナル・セキュリティーズのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は市場の地合いについて「ワクチン開発とウイルス(感染拡大)のニュースの間で綱引きが続いてきた。これまでのところ、(相場への影響は)ワクチンのニュースが勝っている」と指摘。「勝敗の決め手となってきたのは明らかに、景気刺激策が休会前に議会を通過する可能性だ」と語った。
主要株価指数は、新型コロナワクチン開発を巡るポジティブなニュースや新たな刺激策への期待に押し上げられ、S&P総合500種は8日に初めて3700ポイントを上回っていた。
フェイスブックは、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで、米連邦取引委員会(FTC)と全米のほぼ全ての州に提訴されたことを受け、終盤に下げ幅を拡大した。終値は1.93%安。アルファベットなど他の大型株も売られた。
全般的なバリュエーションが割高水準に達する中、一部の投資家は、市場が新型コロナワクチンや刺激策などに関するネガティブなニュースの影響を受けやすくなっている可能性を懸念している。
米製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナワクチンの接種が8日から始まった英国では、重篤なアレルギー反応が2例報告され、同国の医薬品当局が、深刻なアレルギー反応がある人はワクチンを接種しないよう注意を呼び掛けた。
ニューヨーク証券取引所に上場した料理宅配サービス最大手のドアダッシュは182ドルの初値を付け、新規株式公開(IPO)価格を約80%上回った。終値は85.79%高の189.51ドル。
ホームセンター大手ロウズは5.88%高。同社は、新たに150億ドルの自社株買いを発表した。
製薬大手イーライリリーも5.83%上昇。2型糖尿病治療薬の後期臨床試験でポジティブなデータを公表した。
米取引所の合算出来高は120億株。直近20営業日の平均は114億6000万株。
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.09対1の比率で上回った。ナスダックでは1.87対1で値下がり銘柄数が多かった。
<金先物> 新型コロナウイルスワクチンの早期普及への期待を背景にリスク回避の金需要が後退し、3営業日ぶりに反落した。中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比36.40ドル(1.94%)安の1オンス=1835.50ドル。
この日は、コロナワクチンの早期普及に楽観的な見通しが台頭し、投資家のリスク選好意欲が活発化。「安全資産」とされる金は売りにさらされ、過去2日間の上昇を帳消しにした。金相場は前日まで米追加経済対策の実現期待を追い風に、将来的なインフレを見込んだヘッジ買いが膨らみ、2%近く上げていた。
8日に英国がコロナワクチンの接種を開始し、先進国でワクチン早期実用化期待を後押しする報が相次いでいる。カナダ保健当局は9日、米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが共同開発したコロナワクチンを承認したと発表。米食品医薬品局(FDA)は8日、同ワクチンについて有効性や安全性に問題がないとする資料を公表しており、週内にも緊急使用を許可する見通し。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も、開発中のワクチンについて後期臨床試験(治験)結果を来年1月に得られる可能性があるとの見解を示した。
<米原油先物> 米エネルギー情報局(EIA)の週間統計で原油在庫の大幅な積み増しが示されたことを受けて売られ、3日続落した。米国産標準油種WTIの中心限月1月物の清算値(終値に相当)は前日比0.08ドル(0.2%)安の1バレル=45.52ドルだった。2月物は0.08ドル安の45.72ドルとなった。
EIAが発表した12月4日までの1週間の石油統計によると、原油在庫は前週比1520万バレル増と、市場予想(ロイター通信拡大版調査)の140万バレル減に反して大幅な積み増しとなった。ガソリン在庫は420万バレル増(予想230万バレル増)、ディスティレート(留出油)は520万バレル増(同140万バレル増)。これを受けて、需給不均衡への警戒感が強まり、原油が売られた。
一方で、新型コロナウイルスのワクチンや追加経済対策を期待した買いも入り、原油の下値を支えた。
ドル/円 NY終値 104.21/104.24
始値 104.11
高値 104.40
安値 104.09
ユーロ/ドル NY終値 1.2081/1.2084
始値 1.2113
高値 1.2123
安値 1.2060
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*17.00 1.6877%
前営業日終値 99*06.00 1.6600%
10年債(指標銘柄) 17時05分 99*13.00 0.9377%
前営業日終値 99*20.50 0.9130%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.00 0.4068%
前営業日終値 99*30.00 0.3880%
2年債(指標銘柄) 17時04分 99*30.38 0.1508%
前営業日終値 99*30.38 0.1510%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 30068.81 -105.07 -0.35
前営業日終値 30173.88
ナスダック総合 12338.95 -243.82 -1.94
前営業日終値 12582.77
S&P総合500種 3672.82 -29.43 -0.79
前営業日終値 3702.25
COMEX金 2月限 1838.5 ‐36.4
前営業日終値 1874.9
COMEX銀 3月限 2399.0 ‐74.6
前営業日終値 2473.6
北海ブレント 2月限 48.86 +0.02
前営業日終値 48.84
米WTI先物 1月限 45.52 ‐0.08
前営業日終値 45.60
CRB商品指数 158.9208 +0.6387
前営業日終値 158.2821
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