- 2021/02/07 掲載
水産加工業で復興遅れ=岩手銀行の田口幸雄頭取
―この10年で岩手県経済はどう変化したか。
震災直後はサプライチェーン(部品供給網)の寸断や原発事故などの混乱で産業全体が大きく落ち込んだが、その後の数年は災害復旧のための公共工事で比較的好調な景況感を維持した。復興需要が減少し始めると弱含みで推移するようになったものの、復興道路の整備や港湾機能の拡充により、釜石市ではコンテナの取扱量が急激に増加した。訪日外国人旅行者の増加も寄与した。
―津波被害を受けた沿岸部は。
被災した事業者は補助金などを活用して設備の復旧などを進めてきたが、特に水産加工業者の中には思ったような復興を遂げていないところも多い。ただ、明るい材料がないわけではない。宮古市でサーモントラウト、久慈市では銀ザケなどの養殖事業が始まった。若い経営者も頑張っている。
―今後の課題は。
新型コロナウイルスの感染拡大で観光業は厳しく、個人事業主の回復にもばらつきがある。対面商売だけでは限界があり、デジタル化が必要だ。また(人口減少に伴う)事業承継の問題がある。今の事業で良いのか改めて検討すべきで、外部の知恵の活用も重要になる。
―行政に望むことは。
さまざまな支援をしているが、実効性が伴っているかという心配がある。支援の枠組みをつくる一方で、その中で何をするのか。形になっているものもあるがスピードが遅い。
【時事通信社】 〔写真説明〕時事通信社のインタビューに答えた岩手銀行の田口幸雄頭取(同行提供)
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