- 2021/02/25 掲載
スズキ、ワンマン経営脱却が課題=トヨタ影響拡大も
スズキの鈴木修会長が24日、退任を表明した。同社を世界的な自動車メーカーに押し上げた「カリスマ」の退場後は、「ワンマン経営」からの脱却が課題になる。電動化対応などの難題が山積する中、業務・資本提携したトヨタ自動車の影響力が強まる可能性もありそうだ。
鈴木修氏は、自動車排ガス規制が強まる中、1978年に社長に就任。「アルト」「ワゴンR」を投入し、軽自動車の人気に火を付けた。海外では80年代にインド、90年代にハンガリーに進出した。一時は米ゼネラル・モーターズ(GM)と資本・業務提携するほど、勢いがあった。
ただここ数年は、ほぼ半世紀に及ぶワンマン体制のほころびは隠せず、「社内の風通しが悪かった」(幹部)という。2016年には顧客の信頼を損ねる燃費不正が発覚。電動化や自動運転などの次世代技術「CASE(ケース)」対応も遅れている。
生涯現役にこだわってきた同会長も91歳。時代の流れには勝てなかった。政財界にもパイプを持つ同会長が経営の一線から退くことで、「(トヨタの影響力拡大に)拍車が掛かるのではないか」(関係者)との声も出ている。
同会長は24日の記者会見で「若手のチーム力を利用して、25年以降の(電動車の)商品化につなげる努力をしてほしい」と述べた。
今後の経営を委ねられた鈴木俊宏社長は会見で「軽自動車を守り抜く」と強調した。だが電動化にはコストがかかり、低価格を売り物にしてきた軽自動車への応用は容易ではない。100年以上前の創業者鈴木道雄氏は「お客さまのためならどんなことをしてでもこたえろ。頑張ればできるもんだ」と社是に残した。その決意が試されている。
【時事通信社】 〔写真説明〕自身の退任についてオンラインで記者会見するスズキの鈴木修会長=24日午後
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