- 2021/03/11 掲載
「10年を区切りとせず」=小早川東電社長が黙とう―東日本大震災
東日本大震災発生からちょうど10年となる11日午後2時46分ごろ、福島第1原発事故を起こした東京電力ホールディングス(当時東京電力)の小早川智明社長が、犠牲者に約1分間の黙とうをささげた。小早川社長はその後、社員に向けて「10年を区切りとせず福島への責任を全うする」と訓示した。
東電は例年、社長が事故発生日に同原発を訪れていたが、今年は新型コロナウイルス流行を理由に、東京都内の本社で黙とうを行い、訓示の様子をモニター越しに報道陣へ公開した。
政府も11日、電力業界を管轄する梶山弘志経済産業相が同省の有識者会議の冒頭、「福島復興を着実に進め、安全性を最優先にエネルギー政策を進める」とあいさつした。
史上最悪レベルの原子力事故の当事者となった東電は、廃炉や賠償など事故対応にかかると試算される約21兆5000億円のうち、約16兆円を自社で捻出する必要がある。
2017年5月に公表した特別事業計画では、負担分を賄うための資金を毎年5000億円確保しつつ、27年度以降に「4500億円規模の利益水準」を目指す方針を示した。だが、ここ数年の経常利益(連結)は2500億円を超える規模にとどまり、遠く及ばない状況だ。東電が収益改善の切り札として期待する柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働も、根強い原発不信や相次ぐ不祥事で実現のめどが立たない。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは東電の経営について「全く計画通りに進んでいない」と強調。国内外で強まる脱炭素化の動きなど環境変化も踏まえ、「計画を考え直すべき時期に来ている」と指摘した。
【時事通信社】 〔写真説明〕東日本大震災の発生時刻に、黙とうする東京電力ホールディングスの小早川智明社長=11日午後、東京都千代田区(同社提供) 〔写真説明〕エネルギー政策を議論する有識者会議であいさつする梶山弘志経済産業相=11日午前、東京都千代田区
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