- 2021/03/16 掲載
地銀へ強まる再編圧力=生保による保有株売却で
日本生命保険が保有する地方銀行株の売却に乗り出す。2025年の資本規制強化をにらんだ動きだが、他の大手生保にも同様の動きが広がる可能性があり、地銀にとっては「安定株主」が減少することになる。人口減少や新型コロナウイルス禍で地銀の経営環境は厳しく、経営効率化を求める海外投資家らの発言力が高まれば、再編圧力が一段と強まる可能性もある。
地銀にとって株式を保有してくれる生保は、「株主総会で賛成票をごそっと入れてくれる安定株主」(地銀関係者)といった存在。生保は地銀の窓口で保険商品を販売するなど業務面でも関係は深く、地銀は住宅ローンを契約する際、株式を多く持ってくれる生保の団体信用生命保険を顧客に積極的に提供してきた。
ただ、こうした関係は「なれ合い」と見られることも多い。特に近年のガバナンス(企業統治)重視の流れの中、株主には経営監視の役割も求められており、別の地銀関係者は今回の日生の動きに「仕方がない」とつぶやいた。
地銀をめぐっては、菅義偉首相が就任前、「数が多すぎる」と発言。その後、政府や日銀は再編を支援する政策を打ち出しており、地銀に対する包囲網は確実に狭まっている。安定株主が去った後の地銀は、今以上に投資家のプレッシャーにさらされることになる。
【時事通信社】
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