- 2021/09/07 掲載
JR東日本、運転エネルギー削減に向けて山手線で省エネ運転を研究
○JR東日本で消費しているエネルギーの約8割が列車の運転エネルギーです。この運転エネルギー削減を目指し、省エネ運転の研究に取り組んでいます。
○山手線を運行しているE235系電車は、従来の電車に比べて機器の省エネ性能が向上していますが、乗務員の運転操作により、さらなる運転エネルギーの削減を目指しています。
○山手線の乗務員が省エネ運転を試行した結果、約10%の運転エネルギー削減効果があることが分かりました。今後は、乗務員が省エネ運転に取り組みやすい環境を構築し、省エネ運転を推進することで「脱炭素社会」の実現に貢献します。
1.省エネ運転について
現在、研究を進めている省エネ運転とは、駅間の所要時間を変えずに最高速度を抑え、運転エネルギーを削減した運転のことです。具体的には、加速時間を短くし、惰行(※)の時間を長く、そして減速時間を短くする運転です。
山手線で省エネ運転を試行するために、乗務員が運転した走行データを分析し、その中から定時性と省エネを両立する運転曲線を抽出します。その抽出した運転曲線を再現することにより運転エネルギーの削減を実現します。
※惰行(だこう):列車が動力による加速力やブレーキ力がなく、慣性によって走行をしている状態
2.省エネ運転を実現する仕組みについて
山手線を運行しているE235系電車は、車両モニタリング機能を有しており、走行中のさまざまなデータを取得することができます。
車両モニタリング機能を活用して取得した走行データから、駅間ごとに、消費電力量、所要時間、加減速操作のタイミングなどを分析します。
駅間ごとの分析結果から、省エネ効果と乗務員による再現のしやすさなどを考慮した加減速操作のタイミングを決定します。
省エネ運転を山手線の乗務員が試行した結果、約10%運転エネルギー削減効果が確認できました。これを、山手線1年間の運転に換算すると約500万kWh(CO2約1,400トン)の運転エネルギー削減が見込まれます。なお、首都圏の在来線全線区で省エネ運転に取り組み、同様の削減効果があると仮定すると、年間約2.3億kWh(CO2約7.3万トン)の運転エネルギーを削減することができる見込みです。
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