• 2021/10/29 掲載

ECB、金融緩和維持 来年には物価圧力緩和との見方

ロイター

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[フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は28日の理事会で、現行の金融政策を維持することを決定した。市場で物価上昇に対応するためにECBは来年にも利上げを迫られるとの見方が出る中、ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、来年には物価圧力は緩和するとの考えを示し、こうした見方を退けた。

他の主要中銀が金融引き締めに向けた動きを示唆する中、ラガルド総裁は、今回の理事会ではインフレが主要な議題になったとし、 「とにかくインフレ、インフレ、インフレについて議論した」と述べた。その上で、ECBのスタンスについて「自己分析」を重ねた結果、インフレはなお一過性であり、政策対応は時期尚早であるとの結論に達したと述べた。

総裁はユーロ圏の物価を一時的に押し上げている要因として、エネルギー価格の上昇、需給の世界的なミスマッチ、ドイツの付加価値税減税の終了など一過性のベース効果の3点を挙げ、「インフレ率の低下には以前の予想よりも時間がかかるものの、こうした要因は来年にかけて緩和していくとみられる。インフレ率はECBの中期目標である2%を下回ると引き続き予想している」と語った。

また、市場は来年10月の利上げを想定しているが、ECBはインフレ率が展望期間の半ばまでに目標値に戻り、その水準に定着するまで利上げは実施しないとのガイダンスと整合性が取れていないと主張。ラガルド氏は「(こうした条件は)現時点の分析では明らかに達成されておらず、近い将来にも明らかに達成されない」と述べた。その上で、市場が先走っているかを判断するのは自身の役割ではないとした。

こうした発言にもかかわらず、取引終盤の金融市場では現在マイナス0.50%で据え置かれている中銀預金金利を来年10月に0.10%ポイント引き上げるとの見方を引き続き完全に織り込んでいる。

ノルデアのアナリスト、ヤン・フォン・ゲリッチ氏は「ラガルド氏の目的が市場の期待をECBのガイダンスに沿ったものにすることであったとすれば、見事に失敗したことになる」と述べた。

一部の投資家は、ラガルド氏が物価上昇の主因となっている供給上の混乱が第1・四半期以降にならないと解消されず、一部の企業が2022年まで困難が続くと予想していることを認めたことにも注目。ピクテのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼ氏は「今回の発言は比較的控えめで、市場にはタカ派的な余韻が残り、債券利回りが上昇し、周辺国債のスプレッドが拡大した」と語った。

ECBは今回の理事会で、中銀預金金利をマイナス0.5%に据え置くことを決定。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模の総枠も維持することを決定した。

12月の次回理事会ではPEPP終了の是非について決定するとみられている。ラガルド総裁はPEPPが予定通り来年3月に終了する可能性が高いと述べた。

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