• 2022/09/30 掲載

伊国債利回り上昇、ECBは新たな債券購入発動に否定的=関係者

ロイター

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[フランクフルト 29日 ロイター] - イタリアの総選挙で右派連合が勝利して以来、同国の借り入れコスト上昇傾向が鮮明になってきた。しかし欧州中央銀行(ECB)は、ユーロ圏諸国の利回り格差抑制のために導入した新たな債券購入スキーム「伝達保護措置(TPI)」の発動を通じたイタリア国債買い入れ拡大は必要ないと考えている。事情に詳しい関係者がロイターに明かした。

イタリア次期政権の財政運営を巡る懸念を背景に同国債利回りは急速に上昇。対ドイツ国債利回りスプレッドも拡大している。市場関係者の間ではECBがTPIを使うのではないかとの観測が浮上している。

しかし、ECBの政策決定部門に近い4人の関係者は、ECBはTPI発動が必要だとはみていないと言い切った。今の市場の動きがTPI発動の主要要件とされる「正当化されない」「無秩序な」状態には見えないためという。今の市場の動きについては、投資家が政治的な不透明感に反応している状況だとし、ECBとしてはイタリア次期政権が打ち出す政策を見極めた上で介入するかどうかを決めるだろうとした。

ECBの広報担当者はコメントを拒否した。

右派「イタリアの同胞(FDI)」党首でイタリアの次期首相に就任する見通しのジョルジャ・メローニ氏は、脆弱な財政基盤をリスクにさらすことはせず、欧州連合(EU)の財政ルールを順守すると約束した。ただ連立を組む「同盟」のサルビーニ書記長は財政支出拡大を求めている。また新政権が発足するのはあと1カ月ないしさらに先になるとみられている。

こうした不透明感などから、イタリア10年債利回りは約10年ぶりの高水準となる4.927%まで上昇し、対ドイツ国債利回りスプレッドは250ベーシスポイント(bp)を超えた。ECBが後にTPIと呼ばれることになる措置を打ち出した際のスプレッド水準に再び到達したことになる。

もっともTPI発動は、自らの失策なしに市場の売りを浴びた国が対象になるとも定められている。具体的に言うならば、EUが提示する経済政策運営方針を尊重し、持続可能な財政運営に努め、マクロ経済の不均衡を生じさせない国だ。

ECBのラガルド総裁も今週、イタリア情勢に関して質問された際に、特定の国は名指ししなかったものの、国債利回り急上昇が加盟各国の「政策ミス」によるものなら、TPIは発動しないと語った。

ただ、JPモルガンのエコノミスト、マルコ・プロトパパ氏は、イタリア10年債利回りが5.25%を超えるか、対ドイツ国債利回りスプレッドが300bpより大きくなれば、ECBはTPIを発動するかもしれないと予想。一方で政治情勢の展開や物価、経済成長の動向次第で、ハードルが下がることも含め、判断が変わってくることも想像に難くないとの見方を示した。

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