- 2022/11/15 掲載
交易損失が過去最大に、7―9月期年率19.7兆円 所得の海外流出に拍車
実質国内総生産(GDP)に交易損失を加味した国内総所得(GDI)は前期比年率3.9%減となり、マイナス幅はGDP以上に広がった。
内閣府が発表した22年7―9月期の実質GDP1次速報は、年率換算で1.2%のマイナス成長だった。
交易条件の悪化は海外への所得流出を通じ、家計と企業の負担増に直結する。ニッセイ基礎研究所によると7四半期で交易利得が25兆円悪化しており、「実質購買力の低下がGDPの下押し要因となるリスクがある」(同研究所の斎藤太郎・経済調査部長)とされる。
政府は、世界的な景気下振れリスクに備える狙いで財政支出39.0兆円、事業規模71.6兆円の総合経済対策を決定。実質GDPの押し上げ効果を4.6%程度と想定しているが、期待通りの効果を得られるかも危うい。
第一生命経済研究所の星野卓也主任エコノミストは「予算額自体は大規模だが需要喚起につながるのは一部に限られ、GDPの押し上げ効果としては1.2%程度にとどまる」とし、「富の流出が続けば財政支出のGDPへの波及効果も薄れる可能性がある」と話している。
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