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  • 2023/10/27 掲載

JAL19年ぶり待望のエアバス「A350-1000」導入、ANAとのフラッグシップ競争の軍配は?

連載:「北島幸司の航空業界トレンド」

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JALが国際線の新フラッグシップとして、エアバスの「A350-1000」の就航を年内から始める。現在のフラッグシップであるボーイング777-300ERが2004年に導入されて以来、実に19年ぶりのこととなる。フラッグシップとは航空会社の顔となる航空機だが、その機体導入の経緯をANAとの比較で振り返ってみたい。

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

執筆:航空ジャーナリスト 北島 幸司

航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する記事や連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。世界の航空の現場を取材し、内容をわかりやすく解説する。テレビ、ラジオの出演経験もあり、航空関係の講演を随時行っている。ブログ「Avian Wing」の他、エアラインなど取材対象の正式な許可を得たYouTube チャンネル「そらオヤジ組」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。

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現在のJALフラッグシップであるボーイング777-300ER
(写真:筆者撮影)

JAL/ANAのフラッグシップの歴史

 国際線新フラッグシップであるエアバスA350-1000は、胴体に炭素繊維を多用した新世代機である。ボーイング787と競合する。国内線で先に導入したA350-900を約7m胴体延長した型で、長距離飛行が可能だ。2018年にカタール航空が世界に先駆けて就航した。

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JALのA350-1000ファーストクラス個室
(出典:JAL提供)

 ここで、フラッグシップ機の歴史を振り返ってみたい。

 近現代の旅客機で最初のフラッグシップと言えるのは、ボーイング747ジャンボジェットである。ボーイング747の日本での導入は、国際線がメインだったJALが1970年7月に羽田からホノルルへ、遅れたANAは1979年1月に羽田─千歳便へ就航させた。多くの国では、国を代表するエアラインであるフラッグキャリアが主力機として使用していた。分かりやすい特徴は、最重要な国際路線に投入されるがゆえにファーストクラスを装備することになる。

 次に3発エンジンのダグラスDC-10とロッキードL-1011トライスターがJALとANAで就航するが、747がフラッグシップとして君臨した当時は、両機ともにサイズは747よりも小さく、航続距離が短くて国内線に多く使われたことから、次点の存在であった。

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1980年ごろのJALのフラッグシップであるボーイング747-246B
(写真:筆者撮影)

 ボーイング747の次世代機となるのがダッシュ400である。JALは1990年4月に、ANAは同年11月に就航させた。コックピットの運航乗務員が3人から2人へ変わり、計器がアナログからデジタルに変わったことから、外観は相似であるものの、メカニクスの高度化で別もののように新しくなった。

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1980年ごろANAが導入したボーイング747SR
(写真:筆者撮影)

現役で活躍するJAL/ANAのフラッグシップ

 以降の機材更新では、輸送容量を求めるよりもエンジンが双発で燃費効率が良く、環境に優しい機材の導入が始まった。代表的なのは、ボーイング社が製造した777である。この機体には200型と300型があり、300型は胴体が約10m延長された。


 ボーイング747以外に国内線で500人以上輸送できるのはこの機体だけである。航続距離延長型のER(エクステンデッドレンジ)機は、747-400とともに社を代表する機体となり、欧米の主要都市への輸送を担っていた。

 この代表的な機体であるボーイング777-300ERの国際線就航開始は、ANA、JALともに2004年のことになり、それぞれ13機が現役で主要路線で活躍している。

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現在のANAフラッグシップ ボーイング777-300ER
(写真:筆者撮影)

 続いて、2010年代前半にはボーイングの新世代機787が導入された。200席代の中型機であることから、中規模都市への導入が図られた。この機体は、長距離輸送が可能であり、エアラインに新たな遠隔地の目的地を開拓させた。

 ボーイング777が名実ともにフラッグシップになったのは、747の退役後の2014年であるが、フラッグシップ機は、長きにわたってボーイング747-400と777-300ERが担ってきた。 【次ページ】なぜJALは新フラッグシップの導入に至ったのか

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