- 2007/04/17 掲載
【VoIP市場調査】法人向けは「コスト削減とともに何ができるか」が普及のポイント
・2006年、国内VoIPサービス市場は1,720億円(前年比59.3%) ・2006年個人向け「050」および「0AB~J」VoIPによる売上は970億円(前年比51.6%) ・VoIPサービスプロバイダーは、既存の電話システムに関わるビジネスとの連携を基盤とする販売チャネルを重視 |
IDC Japanは、国内VoIPサービス市場の予測を発表した。発表によると、2006年の国内VoIPサービスの市場規模は、前年比59.3%増の1,720億円だった。2006年から2011年までの年平均成長率は25.9%で堅調に成長を続ける(図1参照)。2006年の同市場の内訳をみると、マネージドVoIPサービスおよび法人向けVoIPサービスは、前年比70.5%増の750億円に達した。また、個人向け「050」「0AB~J」VoIPサービスは、前年比51.6%増の970億円となっている。
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「050」/「0AB~J」VoIPおよびマネージドVoIPサービス市場 エンドユーザー売上予測、2005年~2011年 |
通信事業者は、コンシューマ市場に対して、FTTHと「0AB~J」VoIPのバンドリングサービスを低価格で訴求しユーザー獲得を図っている。「0AB~J」VoIPユーザー数は急速に増加している。総務省が発表する「050」番号利用も順調に増加しており、2006年9月時点で1,000万を超えている。しかし、伸びは鈍化しており、今後、マイナス成長に転じる可能性もあるという。
これらの変化要因として、FTTHの価格競争力が高まるに従い、従来のADSLを利用し続ける根拠が揺らいでおり、ADSLからFTTHへの乗り換えとともに加入電話(PSTN)から「0AB~J」VoIPへの切り替えが進んでいる点が挙げられるという。
法人市場のVoIP導入として最も普及率が高いのは、「PBXにVoIPゲートウェイを設置する導入形態」で、前年比6.9ポイント増の27.7%だった(図2参照)。この形態が普及した要因には、通話コストの削減が挙げられる。現在、サービスプロバイダーは、コスト削減以外の要素を訴求すべく、既存のグループウェア機能とコミュニケーションツールとしての連携を強化している。また、VoIPシステムの販売を促進するにあたり、VoIPサービスプロバイダーは電話工事業者やPBXベンダーとの利害の衝突を回避している。
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国内音声(PSTN、ISDN)市場 エンドユーザー売上額および回線契約数予測、2005年~2011年 |
VoIPサービスプロバイダーは、既存電話システムに関わる業者やベンダーとの協業を強く意識しており、ユーザー企業へのアプローチとして、チャネルの重要性を認識した慎重なVoIPサービスの訴求姿勢を見せている。既存の電話システムに関わるビジネスとの連携を進めながら、いかにVoIPの強みを発揮するかがVoIPサービスプロバイダーの共通課題となっている。
「コンシューマー市場、法人市場ともに、VoIP導入の最大の要因は通話料のコスト削減であるが、ユーザー企業はコスト削減以外にVoIPで何ができるのか、という点を重視している」「VoIPサービスプロバイダーは具体的なアプリケーションを模索している段階であり、今後、法人市場に対しては、より分かりやすく導入しやすいアプリケーションの開発/提供に注力することが重要である」と、IDC Japanコミュニケーション シニアマーケットアナリスト 門脇博之氏は分析している。
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