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  • 関西流ベタベタIT商法の挑戦18~癒しのテクノロジー・浮遊体アーティストの挑戦(後編)

  • 2007/05/15

関西流ベタベタIT商法の挑戦18~癒しのテクノロジー・浮遊体アーティストの挑戦(後編)

【売上アップ】合同会社 関西商魂 代表 中森勇人

大阪が生み出した儲かる(売上アップ)のためのIT商法は、「使える物は何でも使う、便利を追求する、花より団子」とごちゃ混ぜの三拍子がそろっている。本連載ではそんなベタで面白いIT商法を紹介していく。






【売上アップ】合同会社 関西商魂 代表 中森勇人
合同会社 関西商魂
代表 中森勇人
癒しのテクノロジー・浮遊体アーティストの挑戦

 岡田さんの水槽に囲まれた不思議な空間はメディアの注目を受けた。折しもスローライフが流行しはじめたこともあって、ゆっくりとしたスペースを取材しようとテレビや新聞、雑誌記者が押し掛けた。脱サラをして芸術家デビューを目指している奥田さんの生き方にも注目が集まった。

 取材に来たメデイアの目に止まるのは必ずといっていいほど、水槽の中でフワフワと浮遊するナゾの物体。ある記者が「クラゲみたいだ」と書いたのがきっかけで、いつしか奥田さんの“浮遊体アート”は、“人造クラゲ”へと変貌を遂げる。ところが、面白いもので、この記事が一人歩きをはじめた。ちょうど同じ頃、株式会社スフィアの岡田成生社長は自社で開発した水槽に浮かべる浮遊体を探していた。人工クラゲの記事を読んだ岡田社長は早速、浮遊代理店を訪れ、販売していた人造クラゲを購入。オープンから半年後のことだった。

 その後、何度か足を運んだ岡田社長は、奥田さんに共同で製品化をしないか、と持ちかけた。この2人の出会いはやがて、「水韻」というアクアリウム・アートを世に出すことになる。試行錯誤を繰り返しながら、奥田さんが試作したクラゲは数千体にのぼった。樹脂の配合から成形まで。柔らかすぎると腰が無く、水中を優雅に漂わない。硬すぎるとしなやかさが出ない。薄くしすぎると形状が保てず、ワンタンのようになってしまい、厚いとサイコロが転がるようになってしまう。

 そこで考案したのがパーツを足、袋、柱の3つの部品に分けること。足はスカートのような形状にし、筋を盛り付けることで、ヒラヒラとした感じを出し、袋は極薄にすることでフワフワと漂う感じを醸し出し、この2つのパーツをしっかりとした柱で結ぶことで全体の形状を保つ。また、材料の樹脂をゆっくりと固めることで柔らかくしなやかな質感を実現した。

 奥田さんの面白いところは、制作に当たり、ほとんど生きたクラゲを観察しなかったこと。コンセプトは水中を生きているようにしなやかに動く形。結果的にクラゲっぽいものができたのだという。2000年には「大阪インターナショナルギフトショー」にはじめて出展。人々は蛍光体の効果で怪しげな光を放ちながら泳ぐ人造クラゲに時を忘れて見入った。このインテリアは評判を呼び、ギフトショーの新製品コンテストで大賞を受賞。この結果を受けて奥田さんは浮遊体と水槽駆動装置を、岡田社長は照明装置と水槽外装を担当し、「水韻1号機」を制作。岡田社長は自社で手がける物件に「水韻」の導入を提案していった。

 しかし、奥田さんは自分の作品が売れていくことに抵抗があったのだという。奥田さんが目指しているのはもっと不思議で人々が驚くようなものを世に出すこと。だから、インテリアとしては様々な空間になじむ、よりシンプルな物、アートとしては「あっ」と驚くような奇抜な物という区別が必要だったのだという。将来はロボットとのコラボも考えている。ロボットが人造クラゲを見ながら、本物か偽物かの議論をおこなっているところに、クラゲが「お前も作り物やろ!」とツッ込む。さすがは関西人、しっかりと落としてくれる。

 奥田さんの目標は浮遊体アートの美術館を建てること。今年12月3日から来年1月6日の日程でハイアット・リージェンシー・オーサカでの個展が予定されている。「ボチボチやっていきます」と語る奥田さん。作品がクラゲだけにゆっくりと進んでいくようだ。



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