富士ゼロックスは12日、東京大学医学部附属病院および東京大学 知の構造化センターとの共同で、電子カルテに記録されている「退院時サマリー」から、医薬品投与とそれによって引き起こされる副作用関係情報を抽出できる技術を開発したと発表した。
富士ゼロックスは、東京大学医学部附属病院および東京大学 知の構造化センターとの共同研究の成果として、自然言語処理技術を用いて、入院から退院までの経過や治療の内容を要約し電子カルテに記録されている「退院時サマリー」から、医薬品投与とそれによって引き起こされる症状、すなわち副作用関係情報を抽出できる技術を開発し、他病院の協力なども得てこのシステムの有効性を確認するための実証実験を開始する。
同社は、従来からビジネスにおけるドキュメント活用による知識共有を促進するため、大量のテキストデータから有用な情報を抽出し、効率的に集約分析する自然言語処理の研究開発に取り組んできた。これまで培った技術を医療現場に適用できるとして、東京大学医学部附属病院との共同研究に2007年から取り組み、現在は「退院時サマリー」から医薬品投与とそれに関連する副作用症状を抽出する技術を開発し、その結果に基づいて医薬品別、副作用症状別の集計表を自動作成するシステムの研究開発を進めているという。
この技術を開発すると必要な情報を抽出・整理・集計する作業を自動化できるため、副作用の可能性のある症状の発生状況をリアルタイムに把握することが可能になる。また、医師や薬剤師などの病院関係者や医薬品の調査に携わる製薬関係者は整理されたデータを用いて、得られた副作用情報をそれぞれの目的に応じて活用することが容易になるという。さらに、医師の処方の安全性の向上支援や効率的な医薬品の市販後の調査への貢献も期待できるとしている。