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- 2024/05/16 掲載
「遺族年金廃止」騒動…デマの陰で進む、2026年に向けた見直し案とは?
Xで広まった「デマ」、どこから?
2024年4月23日に、Xで「遺族年金廃止」がトレンド入りした。インプレッションを集めた投稿のいくつかは、2023年7月28日にNHK NEWS WEBが報じた、厚生労働省の社会保障審議会の年金部会の記事を貼っていた。
2023年7月は、政府が正式に遺族年金に関する議論内容を公表した最後のタイミングである。
最近のXでは、「インプレゾンビ」と呼ばれるアカウントが多く存在する。彼らは目先の利益のために、トレンドワードが入った投稿をコピー・アンド・ペーストして投稿するのだ。遺族年金廃止についても全くのデマであり、短時間に言葉だけが独り歩きしたと考えられる。
自民党片山議員が「遺族年金廃止」を否定
その後遺族年金についての記事がいくつか出たが、直近遺族年金を廃止する動きはない。
ただし、片山氏がXで述べているように、見直しの議論があることは事実だ。
遺族年金廃止がトレンド入りする1週間前の4月16日、厚労省の年金部会が行われた。この日の内容を報じた日経新聞の記事でも、遺族年金に関する議論について報じられている。また、3月の年金部会で、「これまでの年金部会における議論の振り返り」として、遺族年金に関する議論が交わされていた。
つまり、以前から遺族年金の見直しの議論が厚労省の中で行われており、その振り返りなどを3月に行っていたところ、それが事実と異なる遺族年金廃止として広まってしまった、というのが真相なのではないだろうか。
ちなみに、遺族年金廃止がXでトレンド入りする1日前の4月22日、ある公認会計士のYouTubeチャンネルで「遺族年金、見直し廃止論議」と題し、内容に「一部廃止」と表現した動画が公開された。個人的にはこの動画が今回のトレンド入りのきっかけなのではないかと感じる。 【次ページ】見直し議論は事実、何が論点?
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