- 2023/04/28 掲載
日銀、金融政策の現状維持を決定 四半世紀の政策レビュー実施へ
[東京 28日 ロイター] - 日銀は27―28日に開いた金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を全員一致で決めた。マイナス金利、10年物国債金利の誘導目標ゼロ%をいずれも維持し、10年物国債金利の変動幅もプラスマイナス0.5%で据え置いた。1990年代後半以降の金融緩和策を対象に1年から1年半程度かけてレビューを実施することも決めた。
今回の決定会合は9日に就任した植田和男総裁の下での初の決定会合となった。
<先行き指針、利下げバイアスの文言落ちる>
金融政策運営については、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金上昇を伴う形で2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指すとした。
金融政策の先行き指針のうち、新型コロナウイルスの分類変更に伴って「新型コロナの影響を注視」との文言を削除した。ただ、引き続き企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに「必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を講じる」とした。
一方、政策金利について「現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移すると想定している」との文言は削除した。
日銀は物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続すると改めて表明。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとした。
<連続指し値も継続へ>
短期金利は、引き続き日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用。長期金利は、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う。
日銀は10年物国債0.5%での指し値オペを「明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日実施する」と改めて表明した。金融市場調節方針と整合的なイールドカーブ形成を促すため、大規模な国債買い入れを続け、各年限で機動的に買い入れ額の増額や指し値オペを実施する。
<25年度物価見通し、「下振れリスク大きい」>
日銀は声明文で、日本経済がデフレに陥った1990年代後半以降、「25年間という長きにわたって物価の安定の実現が課題になってきた」と指摘。さまざまな金融緩和策が日本の経済・物価・金融の幅広い分野と相互に関連し、影響を及ぼしてきたとした。
今回の会合で議論した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、新たに追加した2025年度について、コアCPIの政策委員の見通し中央値が前年度比プラス1.6%、生鮮食品・エネルギーを除くCPIがプラス1.8%となり、目標の2%を下回った。日銀は25年度の物価見通しは「下振れリスクの方が大きい」とした。
(和田崇彦)
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