- 2023/05/16 掲載
脱炭素、現実的な協調模索=G20の機能不全で―G7中銀
先進7カ国(G7)の中央銀行が、新興国を巻き込んだ気候変動対応の現実的な協調を模索する。ロシアのウクライナ侵攻以降、20カ国・地域(G20)は機能不全の状態。脱炭素化に向けた取り組みの強化が待ったなしとなる中、中国やインドなどの主要排出国を含めた新たな枠組みを立ち上げ、こうした新興国も受け入れやすい「段階的な排出削減」で合意形成を図る考えだ。
13日に閉幕したG7財務相・中銀総裁会議は共同声明で、段階的な排出削減を促す「移行金融」について「経済全体の脱炭素化を進める上で重要な役割を有している」と明記。中銀による拡大会合には直接言及していないものの、「主要排出国に積極的に関与することの重要性を強調する」との認識で一致した。
G7内には、地球規模で脱炭素化を進める上で、先進国だけでは抜本的な解決には至らないとの危機感がある。一方で新興国には、欧米が主張する化石燃料から再生可能エネルギーなどへの急転換は経済成長の足かせとなるとの懸念が根強い。このため、中銀が連携してより効率的な石炭火力発電などへの投資を促す移行金融を推進し、中長期的に気候変動問題に対処する方針を打ち出す。
拡大会合には、インドやブラジルなど国際的な存在感を増す「グローバルサウス」の中核国が参画した。G7中銀としては、政治的な対立から機能しないG20とは異なる枠組みの下、中国も含め主要排出国と先進国で対応を前進させたい考え。
中銀拡大会合は来年のG7議長国イタリアが引き継ぐ可能性もあり、国際協調の枠組みが大きく揺らぐ中で議論を先導した日本の手腕が試される。
【時事通信社】
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